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「…なつかしいね」
低く、まるで独り言のように
ハイドは言った。
だから思わず曖昧な返事を返してしまう。
「…せ、やろ」
それを聞いたのか聞いてないのか
解らないがハイドは
ケンちゃんのギターをすっと持ち上げて
ストラップに躯をくぐらせ
弾く姿勢を取った。
「ほこりっぽい」
顔は見えないけれど、ハイドは
そう言いながら微かに笑う
小さく震える肩がそれを示す
少し間が空いて、左手でネックを掴むと
細い右腕を軽く振り下ろした
同時に小さな和音が部屋に響く。
響いて、一瞬ハイドが鼻で
笑った気がした。
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