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「あ、そうや、ケンちゃん」
筒状になっていないカーテンへ
足を運びながら
思い出して言った。
歩く度、ブーツの足音がじゅうたんに響く
「今日、久々にハイドが見舞いに
来てくれるんやって」
辿りついて、同じようにカーテンを
引っぱりあげて留める
カーテンレールに少し引っかかって、
これ買い直し時かなとふと思う。
「昨日電話があってなー
なんかハイドもわくわくしとったで」
なんて言いながら彼を振り返ったけれど
やっぱり、目をつむったまま動いてなくて
いつか、テレビか本に、
声をかけていればきっと治るだとか
何とか書いてあったものだから、
ずっと声をかけつづけている。
でもその効果は一行に現れようとしない
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