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復讐するために、
ケンを救うために
ユッキーを きっともうすでに
釈放されたであろう仲間を
殺すために 5年間
彼は走り続けている 今も。
それを 俺は 止められないでいる
自分の弱さは 果てがない。
「ケンちゃんは?どう?」
扉越しもなんだからって
ハイドをケンの眠る部屋ではなくて
居間に招き入れた。
コーヒーを作ろうと
湯を沸かしている最中に
カウンターに腰掛けているハイドは
そう尋ねてくる
「…異常なし、かな」
困ったように微笑んでそう応える
異常なしってことは
目覚めの兆候は
一切現れてないってことで…
自分の躯にフィットした黒のハイネックの
上に革のなんだかとてもかっこいい
ジャケットを羽織ったハイドは
「そっか」とだけ答えて
祈るように両手を組んで
白い顎をその上に載せて黙りこんだ
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