ひとり

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 克明は布施クリーナーという会社のバイトをしていた。そこから、赤川記念病院に派遣されているのだ。彼の年齢でこのような仕事をしている人はあまり多くない。だから重宝がられ、時給も1500円もらってる。ただし、オペ室の掃除なんかは汚物もあるし、箘の感染など受けるリスクはある。克明がこのような仕事を選んだのは、あまり社交的な性格ではないし、一番年下なので同僚にも気を使わなくて良いところが気に入ったのだ。  裏口から、証明書を見せて入りタイムカードを押す。休憩室で着替え、もうすでに仕事を始めている先輩にあいさつに行く。  「おはようございます」  この病院に派遣されている男のスタッフは、克明以外に2人、真面目な性格の石川とはちゃめちゃな小栗。2人とも60を超えている。大きな企業に勤めていたということだが、本人達の話しなので本当のとこは分からない。性格が反対の2人は仲が悪く、いつも克明はそれぞれの愚痴を聞いていた。  
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