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鏡は月の光を反射するように眩しく光っていた。
(さっきまでなんともなかったのに。どうしたって言うの!?)
月が顔を出た瞬間光りだしたそれは、まるで月と共鳴でもしてるかのようだ。
その不思議な光に引き寄せられて、一歩ずつ前に足を進める。そして手を差し出した。
手が鏡に触れたその瞬間、今までにないくらい強く光り出す。
そして、手が鏡の中へ突き抜けてしまった。
「きゃぁぁー!!」
希美が悲鳴をあげた時には、すでに物凄く強い力で手が引っ張られていた。
「やだ! 誰か助けてぇ!」
叫び声をあげるが、ずるずると中へ引き込まれる。
希美の悲鳴が止むと同時に、彼女も忽然と姿を消した。
そう、希実は鏡の中に吸い込まれてしまったのだ。
それまで青白い光を放っていた鏡は、何事も無かったかのように美術準備室を写している。
月は再び雲に隠れ、辺りは暗闇に包まれた。
そして、夜の学校は再び静寂を取り戻す。
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