古びた社

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 戸をあけた先に広がっていたのは、見渡す限り木々が生い茂る森。その少し開けた場所にこの古びた建物があるらしく、周りには他に建物と呼べるものはない。  森の中に入ると、それこそ迷子になりかねない。 「どうしよう……」  仕方がないのでその辺を歩き回ってみることにした。 (ずっとここにいてもしょうがないわ。でも、どこだか分からない所でむやみに動くのは危険すぎるし……)  そう考えながら辺りを見回すが、見覚えのあるものは何1つない。  頼りの携帯も今は圏外。助かる見込みは無いに等しい。  それでも今は出来ることをやるしかないのだ。  手に持っていた携帯を胸ポケットにしまって歩きだす。 (そういえば、なんで私こんな所に居るんだろう。もしかして誘拐とかなのかなぁ……。でも誘拐なら誰か見張りの人がいるはずだし) 「どうして誰もいないの……?」  そんな事を考えていると、急に心細くなったのか、その場にしゃがみこんだ。  すると、森の中からガサガサと音が聞こえた。音はだんだん大きくなり、何かが近づいてくる。
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