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美術準備室に入ると、中はややほこりっぽいようだ。掃除があまりされていないからだろう。
いつも美術の先生くらいしか中には入らない。そのため、生徒が掃除することもない。
どうやら美術の先生はあまり掃除をしないようだ。
けれどやはり美術の先生だけあって、彫刻や絵の手入れだけはきちっとしている。
ふっと一つのホコリを被った布が目にとまった。何かを覆い隠すように被せられている。
高さは希美の身長より遥かに高く、手を伸ばしてようやく届きそうなほどだ。厚みはそんなにない。
希実はためらうことなく布を下に引っ張った。
が、やはり少し考えてからにしたほうがよかったかもしれない。引っ張った瞬間に、ホコリが霧の様に舞い上がった。
「ゲホッ……ゲホッ!」
むせた上に視界も真っ白になり、目を開けていられないほどホコリが舞っている。
(引っ張らなきゃ良かったよぉー。てかあたしなんでこんなの引いちゃったんだろ?)
自分でも訳が分からないまま、ホコリが床に落ちるのを静かに待った。
引っ張るつもりは無かった。けれどその気持ちとは逆に、体はその布の中に隠れているものに興味を示す。
分かるのは、今日という日がいつもと違うことだけ。
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