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ホコリが下に落ちたのを確認して、自分の頭に被った分も払う。
「もーう、最悪!」
パタパタと音をたてながら制服についたホコリも払った。春休みが終わり、ようやく新学期に入ったばかりだというのに……制服は再びクリーニングに出したいくらい汚れている。
紺に近い青いセーラー服だから、ホコリの汚れがより一層目立って見えた。
しかし、そんな事を気にする余裕を無くす存在感を放つ物が目の前に悠然と構えている。
布に覆われていた物の中身が露わになった。
(なにこれ……?大きな鏡じゃない)
そう、それは鏡だった。希実の背丈以上もある程大きい。
まわりの額縁はシンプルだが、金メッキ施されていて、いかにも高そうだ。
「ったく、ただの鏡じゃんか」
さらに周りをみわたして怪しそうなものを手当たりしだい触ってみる。けれど光を発するような物は何も見つからなかった。
物を動かす度にホコリが舞うので、探す気力も無くなってくる。
「はぁー、さっきのはいったいなんだったのよ!」
そう言って壁にあたってみる。ガンッと音をたてるだけで何も変化はない。足が痛かっただけ。
(一体なぜこんな所まで来たんだろう?)
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