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ふと顔を上げてみると、今まで雲に隠れていた月が顔を出そうとしている。賭けたところがない満月はとても美しい。そして怪しくもあった。
ぼんやりとそれを眺めながら、ため息をつく。
「あ、早く家に帰らないと」
希美は青白い光に気をとられ、家に帰ることをすっかり忘れてしまった。早く帰らないと親が自分が居ないことに気づいてしまう。
「よし、帰るか……」
本当は青白い光が何だったのか気になってしょうがない。けれど時間ぎれだ。
やや肩を落とし、美術準備室から出ようとしたその時、
パァッとあたり1面が明るくなった。
希実の背後から、まぶしいと思うくらいの青白い光がほとばしる。
(え……!?)
希実は直感した。
この光がどこから出ているか。
彼女を惹きつける謎の光。原因なんて分かるはずがない。けれど、何から放たれているかは分かった。
それは、
「あの鏡だ……!!」
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