第一章 3 女神の涙と決意

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顔を叩かれた気がした。それほど強い衝撃を受けた。 シリウスはやはり気づいていたのだ。この身の異変に、気づいていたのだ。 そして自分が何に恐れを抱き、不安を感じているか、見抜いている。 『いつから…気づいて…?』 声は自然震えを帯びる。 『先の満月の夜に。ほんの微かだったけれど人間界に張られた結界に乱れがあった』 それで、気づいたのだという。 『あなたのことだ。ひとりで抱え込んで苦しんでいると思ってね。心配になって来てみたら、案の定。……無理をしているのがすぐに分かった』 『ふ……っ』 涙が再びあふれ出す。 シリウスは自分のために来てくれたのだ。 不安になって、ひとりで震えていた自分のために……。 かなわない、と思った。 なぜここまで思いやってくれるのか。なぜここまでわたくしを解ってくれるのか。 そう言うと、呆れたような声が返ってきた。
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