第一章 3 女神の涙と決意

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モーリアスは心の中で自分と静かに対峙する。 嵐の去った海のように穏やかな感情で満たされてゆく。 心が清らかな空気に触れたように澄み渡るのが分かった。 忘れていた、気持ち。とても身近で大切な、想い。 ふたりを……リディアとフィリスを女神候補として認めたのは、だれ? ――――――それは間違いなく、自分自身。 まず一番にふたりを信じなければならない立場にいるのは、だれ? ――――――それは間違いなく、自分自身。 なのに! 信じるどころか過去の幻影に囚われて、不安になって……。 (情けない……!) 何が月の女神だと、自分で自分を責めた。 けれど。
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