32人が本棚に入れています
本棚に追加
モーリアスは心の中で自分と静かに対峙する。
嵐の去った海のように穏やかな感情で満たされてゆく。
心が清らかな空気に触れたように澄み渡るのが分かった。
忘れていた、気持ち。とても身近で大切な、想い。
ふたりを……リディアとフィリスを女神候補として認めたのは、だれ?
――――――それは間違いなく、自分自身。
まず一番にふたりを信じなければならない立場にいるのは、だれ?
――――――それは間違いなく、自分自身。
なのに!
信じるどころか過去の幻影に囚われて、不安になって……。
(情けない……!)
何が月の女神だと、自分で自分を責めた。
けれど。
最初のコメントを投稿しよう!