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胸元に水の雫を思わせる揃いのペンダント。純白の簡素なドレスによく映えたそれはシリウスが贈ったものだとその場の誰もが知っていた。
「良かった。間に合って……」
息を整え、まずリディアが口を開いた。
「シリウスさま、これを受け取ってください」
「これは……」
小指だいの小さな貴石が手渡された。
「力が宿っているね……お守り?」
フィリスがうなずく。
「わたくしと、お姉さまで力を宿しました。役に立つとも思えませんが、どうか受け取ってください」
貴石を握り締め、シリウスはにこりと微笑む。
「ありがたくいただいておこう」
ふたりは百花がいっせいに咲き誇ったかのような笑みを浮かべて安堵の息をつくと、裾の乱れをただし、優雅に礼をとった。
モーリアスが一歩進み出る。
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