第一章 3 女神の涙と決意

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くすっと小さく笑う。 心が羽のように軽い。 瞳に映るすべてのものが星屑を纏ったかのように煌いて見える。 世界はこんなにも美しい。 精霊界の自然も、緑の雫を滴らせる季節がもうじきやってくる。 淡い色合いの花々とは少しの間お別れだ。 春を司る精霊たちの帰還。 そして、夏を司る精霊たちの旅立ち。 世界は刻々と時を刻み、移り変わっていく。 それでも。 「モーリアス?」 不安はあるけど恐れはない。 「お母さま?」 娘たちを信じ、支えることこそ、いま自分のなすべきこと。 「あの、どこか具合でも――」 どんなに暗く思える道を歩んでいようと、ひかりはいつも傍らにあるのだと知ったから。 もう大丈夫。毅然と胸を張って歩いていける。うつむきがちになっていた顔を上げ、明るい声をあげて。皆の心からのいたわりに支えられながら歩いていけることが、こんなにもうれしい。自分のまわりにはこんなにもあたたかい光が溢れていたのかと思うと誇らしい想いでいっぱいだ。
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