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――――哀しい想いをするのは、自分たちだけでいい。もう二度と、繰り返させるものか!
それは、願いであったのかもしれない。
それは、祈りであったのかもしれない。
それでも。
胸が熱を帯びてゆく。
二度と、繰り返すものかと固く誓った決意は、今も心の内で燻(くすぶ)っていたのかと、自身の胸に手を当てた。
続けるべき言葉は、とうに失われてしまった。
ウィルグが過去を繰り返してはならないと思った時点で、モーリアスの言葉は真実であると、認めたも同じだったから。
認めることを、受け入れたのだから。
(どのような想いで、モーリアスさまは……)
それだけが、気がかりだった。
きつく瞑ったままだった瞼を押し上げ、玉座の主を仰ぎ見たウィルグは愕然と瞳を見開いた。唇が何かをつぶやこうとして微かに動く。
「……っ!」
なぜ!?
――――月の女神は、微笑んでいた。
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