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「いいえ。それはできかねます。もし、ここで嗤えばアサーシャさまを知るすべての精霊を嘲笑うことになりますからな」
一度言葉を切り、大事な人の名前でもささやくように、精一杯の心を込めて言葉を紡いだ。
「――――――自分自身でさえも」
「え?」
と、顔を上げた主にウィルグは柔らかな微笑を返す。
「愚かなのですよ、皆」
信じているのだと。皆がアサーシャのことを信じてくれているのだと。
心地よい言葉の余韻を確かめながら、モーリアスは瞬きを繰り返す。
笑みが頬にふわりと上る。目頭が無条件に熱くなった。
それは乙女のように清らかな笑みであった。
見るものに清々しさを運ぶその笑みを。
目じりに玉と輝く宝石を。
ウィルグは己が魂滅するまで、決して忘れることはないだろうと思った。
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