第三章 1 出会い

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姉と別れ、人界へと降り立ったフィリスが向かった街は、帝都ルインという街であった。 フィリスにとって、思い入れの深い街である。 なぜならば、そこはフィリスのもっとも愛する者、椎名の住む街であったから。 ふたりはこのルインで出会い、愛を育んできた。 長い時を生きる精霊にしてみれば、瞬きほどの時間。 それでも、胸の中であたたかく輝く、大切な時間。 瞼を閉じて見えるのは闇ではなく、美しい煌きに彩られた真新しい映像。 ひとつひとつ、すべて憶えている。 忘れることなんて出来ない、一生の宝だ。 見ることも、触れることも叶わない宝だけれど、それでいいとフィリスは思う。 見えないからこそ、大切なもの。 触れられないからこそ、大切なもの。 この世にはそんな宝で溢れているのだろう。
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