第三章 1 出会い

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「うーん」 腕を組み、女主人はうなると、銀の鈴を連ねたブレスレットを示してみせた。カットされたガラスの留め金が目を引く華奢な作りのものだった。 「これなんかどうだい?純白の衣装に似合うと思うけどねぇ。どれ、手首をかしておくれ」 言われるまま、すっと手首を差し出す。 女主人は眩しそうに目を細めた。 「白い手だねぇ。うらやましいよ」 あかぎれひとつなく折れそうに細い手首をみて、いいところの令嬢だねと見当をつける。 よく見れば、纏っている衣装も上等なものだ。 おおかた屋敷を抜け出しての物見遊山といったところか。 「……ようし、どうだい?」 フィリスが舞うように手首を宙に閃かせると、しゃらん、と澄んだ音を奏でた。その優雅な動きに、いくつかの視線が釘付けになる。 「ありがとう……」 「あ……ああ、気に入ったかい?600ジェイルになるよ」 見惚れていた自分に気づいた女主人は慌てて言葉を紡ぐ。 「600ジェイル?」 「お代だよ。お金」 「オカネ……」 要領を得ないフィリスの反応に女主人の顔が曇る。 「持ってないのかい……?」
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