第三章 1 出会い

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予想以上に強い力にフィリスは悲鳴をあげた。 「痛っ!」 非難の入り混じった瞳で椎名を睨(ね)めつける。 「待ってください……話を」 椎名はそう言ったが、混乱のただ中にあったフィリスに言葉は届かない。 「離して……」 身体をねじって逃れようとするが、うまくいかない。 それどころかさらにきつく握り締められる。逃がさない、とでもいうように。 「!」 恐怖がフィリスの身体をがんじん絡めに縛り上げた。 フィリスは知る由もなかったが椎名は無意識のうちにやっていた。 否、たとえ分かったところで何の救いにもなりはしなかっただろう。 目に映る、身体が感じる感覚だけが今のフィリスの現実であったから。
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