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突然、人々の喧騒がフィリスの耳朶を打った。
(な、何……!?)
続いて響き渡る、笛、太鼓、弦楽器の賑やかな調べ。
手拍子がそれに混ざり、バラバラだった音楽がリズムに乗り統率がとれてくる。
祭りの火蓋が切って落とされたのだと、フィリスが気づくまでに数瞬かかった。
人々の笑い声。ダンスを踊っているのだろう、合っているようでどこか雑然としたステップを踏む音。祭りの持つ音の魅力に誘われるように、木立から広場へと足を向けた。
木立から抜けた途端身体を包み込むムッとするような熱気。
圧倒されそうになって、フィリスは瞳を見開いた。
蒼の瞳は、祭りの鮮やかさを克明に映し出す。
広場には思い思いの衣装に身を包んだ男女が輪をつくって踊っている。地面に伸びた影さえ祭りの一員のようだった。
舞台には楽器を持った奏者が肩を弾ませて演奏している。皆の顔に浮かぶ笑顔。歓喜。
そう、自分はこんな人々の姿が見たかった。目に焼き付けておきたかった。
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