第三章 1 出会い

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「怯えさせてしまったみたいですし、どうしても謝りたくて。本当にすみませんでした」 フィリスの視線を痛いほど感じながら、椎名は頭を下げる。この乙女に軽蔑されたままでいることに耐えられそうになかったから、精一杯の誠意を込めて。 それは確かにフィリスにも伝わった。 警戒心が、ゆるりと溶けていくのを感じる。わずかに微笑んで、言った。 「――いいえ。わたくしこそ、助けてくださったのに失礼なことを」 はっ、と椎名は顔を上げる。 「では、許してくれるのですか?」 小さくうなずくと、椎名の顔に安堵の笑みが広がった。 なんて透き通った笑い方をするのだろうとフィリスは見惚れ、すぐにそんな自分を恥じた。 背後でわっ、と拍手がわきおこる。何事かと振り向くと、どうやらダンスが一曲終わったところらしい。男女がパートナーを探して入り乱れ、新たな輪を作り出している。
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