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(母)
私は、母親として失格ですね。
こんな現実にさらされて、徹夫の気持ちが今、少し分かったような思いです。
だって、あなたが、あまりにも素直で、素敵で、大切な存在だったからです。
あなたは、私にとって、すべてでした。
すべてをあなた中心に生きてきた私です。
あなたは、そんな重荷を小さい時から背負わされていたんですね。
ごめんなさい。
徹夫。
いけない母親でした。
・・・でも、でも、私の本当の気持ちはわかってくださいね。
今は、もう何も考えることができません。
私の人生は終わりました。
徹夫、ちょっと、待っていてくださいね。
こちらが片づいたら私も行きます・・・。
(少年A)
徹夫、おまえ、何てことしたんだ。
一言俺に相談してもよかったろう。
俺はおまえの親友だと、本当に思っていたんだぞ。
それなのに、一言も言わなかった。態度にも出さなかったじゃないか。
なぜなんだ。どうしてなんだ。
俺にはおまえが理解できない。とても、とても信じられない。
・・・これから、寂しくなるな。
親友をなくした俺の気持ち、おまえにわかるか。
どんなに惨めで、どんなに寂しくて、どんなに後ろめたくて、どんなに悔しいか、おまえにわかるか。
・・・でも、もう言わないよ。
おまえも十分考えた末の結論だったんだろ。
頭のいいおまえだからな。
ひょっとしたら、おまえにはこうするのが一番よかったのかもしれない、そう、思ってやるよ。
じゃあ、俺が死ぬまで待っていろよ。
天国で、元気でな。
・・・しかし、当分、寂しくて仕方がないな。
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