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「そ、それがたまたま俺の妹に?」
はあ? と返され、そんな悪態のような声を神様も出すのかと思いながら話を聞く。
「そんな上手い話があるか。決まりでは、どこにどのような人間をどういう風に作ってもいいから、田嶋家の長女と設定しただけだ。お前は弟をとても大事にしていたし、年下の方が良いかと思ってな」
「じゃあつまり、あの子は、この世界では本当に俺の妹なのか?」
信じられない。人間を作り出せるなんて。本当に神様なんだなこの少年は。
「そうなる。まあ規定ではあくまで、一人作る必要があるというだけだから、なにもお前の妹である必要はないし、不要であれば今からでも消すが――」
「だあああぁぁぁぁぁ!! いる! 絶対いる!!」
情けないほどにシスコン全開だが、構わない。健太が出来すぎていたから、少しやんちゃで子供っぽいのも良い。あと女の子は癒やされる。あとなによりも可愛い。
「そ、それなら良かった。じゃあ、彼女はお前の妹だ。大事にしろよ」
「勿論だ!」
絶叫した俺に神様は多少引いていたが、知ったことか。
やがて、神様は天空界へと引き返した。顔はひきつっていたが。なんだ。俺がそんなに変か。
だって、神様がくださった妹なんだぞ? 性格が悪いなんてのは、まず有り得ない。天使のような可愛さを誇るに違いないのだ。
まあ違いないと言っても、あくまでも推測なのだが、さっきの愛くるしい千里の顔を見て、誰がその中身を、鞭を打つことに悦を感じるサディストや、道端にガムをぺっぺと吐き捨てる奴などと考えるだろうか。
そんな考え方をする人の方が危ないと、俺は思う。その人にどんな暗い人生があったのか知らないが、千里を悪く言うな。絶対にあれは天使だ。そうだろう。あれ、なんだかテンションがおかしいよ。
さて、妹問題も解決したので、健太の部屋に直行するとしよう。今すぐにでも彼女に会いたい。会って色んなことしたいです。まずは握手あたりからいこうかな。
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