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大きくて、骨張ったあったかい掌から伝わるぬくもりが、じんわりと染みてあたしのささくれ立った心を鎮めていく。
「さてと。じゃ、落ち着いたみたいだし帰るぜ」
少年がベッドから立ち上がった瞬間、部屋中にお腹の音が盛大に鳴り渡った。
「‥‥悪ィ」
恥ずかしそうに顔を赤くしてお腹を押さえる少年が、昨日の夜から何も食べてないことは安易に想像が出来た。
育ち盛りだし、何よりスポーツの後だったんだ。
お腹が減ってるのも当然だよね。
「何か作るよ」
「え?‥‥いや‥‥」
「せめてご飯くらい食べてって。時間、大丈夫?」
「あ、ああ‥‥」
「決まり!作ってくるから、待っててね」
半ば強引にそう言うと、あたしはキッチンに向かった。
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