オトコとオンナ

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「都さん、か。悪い‥‥名前知らなかったから、アンタって呼んでた」 「全然気にしてないよ。あたしも亮巴君って呼んで良い?」 「おう」 何年振りかに交わす内容の言葉のやりとりは、気が付けば自然とあたしを笑顔にさせていた。 「ね、また空いてる時で良いからさ。ここに遊びに来てくれる?一人暮らしの上にフられちゃったしさ、寂しいんだよね」 苦笑い混じりに言ってみせると、亮巴君はガシガシと頭を掻いて笑った。 「‥‥仕方ねーなあ。新しい男が出来るまで遊びに来るぜ。都さんのメシ、旨いしな」 「絶対ご飯目当てでしょう?」 「ははっバレたか!」 不思議だな。 昨日はあんなに苦しくて、 辛かったのに、今こうして笑えてる。 何でもない言葉のやりとりが、楽しいと感じてる。 きっと、亮巴君が居なかったら今頃あたしは泣き腫らしていただろう。 あたしは目の前の亮巴君に、 心の中でお礼を述べた。
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