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フタゴコロ
あの日以来、亮巴君は度々あたしの家に立ち寄ってくれるようになった。
「いらっしゃい。亮巴君」
「お邪魔します」
今ではすっかり定位置となったリビングのソファに腰掛け、
それを見届けると、あたしはお茶の準備を始める。
これといって何をする訳でもなく、借りてきたDVDを見たり、
互いの私生活を話し合ったり。
そんな何気ない時間が、
楽しみの一つになっていた。
「来週の日曜、試合があるんだ」
嬉しそうに話す亮巴君から、
どれだけサッカーが好きなのが窺い知れて、あたしもつられて笑顔になる。
「んでさ、都さんさえ良かったら、試合観に来て欲しいんだ」
「‥‥‥え?」
不意に耳に飛び込んできた言葉に、目を丸くする。
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