ありがとうが、言えなくて…

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   あぁ、僕はなんてダメな人間 なんだ…。  今日は、見たいアニメの録画 予約を忘れて学校に来てしまった…。  それだけならまだしも…  あ、後で誰かに見せてもらえば良いんじゃない?とか、家族に録画してもらえばいいじゃない? とか…思った人、手を上げて?  それは無理なんだ…。   だって…クラスの皆は、裏番組でやっているアニメの方が好きなんだから。    少数意見の、しかも、親友でもない人間の頼みを、誰が聞いてくれると思う?  しかも、こんな時に限って、 放課後の掃除当番だし。  …忘れた事に気が付いたの、さっきだし。  …携帯の充電、切れてるし。  まったく、人生って、理不尽な事が多いよねぇ。   「はぁ~…。今から急いで帰れば、間に合うんだけどなぁ?」     「それなら、あたしが代わりに やってあげるよっ♪」     びくっ!!  誰にでもなく言ったつもりの 独り言が聞かれちゃった時って、すっごく恥ずかしくない?  しかも、それを聞いていたのが、クラスでも結構人気のある、かわいい子で…  更に、男女分け隔てなく話し かけてくれるという、天使の様 な女の子…    そして、僕の憧れの人、久田場 麗奈、その人から、だったんだから。 「えっと…その、良いの…?」  僕が遠慮がちに聞くと、麗奈 ちゃんは…にっこりとエンジェルスマイルを浮かべ…一言。   「うん♪ なんか、良く判らないけど…急いで帰れば間に合う んでしょ?  だったら…迷っている間にも、帰った方が、良いと思うんだなっ♪」 
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