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「で?そこにギリギリで証拠品を持って来たってのが犬神か」
そう思ってる矢先に森が緋桜の頭を掴みながら顔を横に出して言う。
「はい……一応」
「タカセン良く分かったね」
やっと話を振られた犬神だったが大して言う事も無く、ぼーっとした表情のまま頷き、緋桜は少し驚く様に言う。
「バーカ、こんな近くにいて〝痴漢〟とか〝警察〟とかいう単語が出てるのに驚く表情を全く見せないのは当事者だからしか無いだろ?」
森の言葉に緋桜はなるほどと納得した様に言うが、
「でも犬神の場合、当事者じゃなくてもあんまり驚いたりしなさそうだよね……」
「……確かに」
緋桜の言葉に森も一緒になってうんうんと頷いた。
「ん、じゃあこの件はここまでな。もう勝手にすんじゃねぇぞ?まず俺に言え」
森が緋桜の頭と顎の手を離すと緋桜は頷き、言葉は緋桜は森にずいいっ!と詰め寄った。
「タカセン。私犬神と一緒に〝六不思議〟を調べる事にしたの」
「なっ……お前まだ諦めてなかったのかよ……」
呆れた様にため息をつく森に緋桜は目をキラキラと輝かせて言う。
「犬神の洞察力は凄いよ!あと耳も凄い良いし!」
緋桜と森の会話にまたも置いていかれている犬神だったが、
「あ―、もう授業じゃねぇか、犬神先に行っててくれ。俺は後からコイツを連れて行くから」
森の言葉に犬神は特に文句を言う訳でもなく頷いて、直ぐに職員室を出て行った。
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