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「……行ったか。緋桜、確かに犬神の奴は凄い。確かに洞察力もあるし五感も異様なぐらいに発達してるし、何より知識量が半端ない」
「知識量?」
森は犬神が居なくなったのを確認すると緋桜に改めて向き直り、頭をかきながら話していく。
「アイツは興味を持つと好奇心が半端ないのかその事に関する知識を本やら実際にしてみるやらで得ると、絶対に忘れないんだ。その証拠に」
森は自分の机の引き出しをごそごそと弄ると何かの書類をバサッと出す。
「暗記系のテストはほぼ満点だ。生物とか歴史とかな。アイツが面白いって興味を持ってるからだ」
「凄い……全然知らなかった……同じクラスなのに……」
犬神のテストのコピーを見せられて緋桜は感心した様に呟く。
「同じクラスったってまだ6月の終わりだぞ?たかが2ヶ月で相手の事がわかるかよ?」
「じゃあ何でタカセンは分かったの?」
「俺が素晴らしい観察眼を持っているからだ」
フフンとメガネを輝かせて言う森に緋桜は呆れた様にため息をつく。
「ま、それは置いといてだな。アイツにそういう類いのモンを調べるには向いてないと思うぞ?なんせ応用力ってもんが無いからな」
「応用力?どういう事?」
またも首を傾げる緋桜に森は淡々と話していく。
「使える知識はあるんだが、その知識をどう使えば良いのかがあまり分かってない。例えば数学のテストだが、」
今度は数学のテストのコピーをバサッと出す。
「公式を丸々覚えているから簡単な問題は解けているが、少し問題を捻られると公式をどう使えば良いのか分からない。だから点数はいつも平均より少し上だ」
森はそう言うと犬神のテストを全部しまって立ち上がる。
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