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多くを望むつもりはないけど、オレが勝手に一人で盛り上がってるような状況にはしないでほしい。
それだけは思う。
…わかってるけど。
キャルはそういうものに興味ない。
アン王女やリビアに惚れていたほうが、オレにとっては楽だっただろう。
でも…、オレの目はキャルを追ってる。
抱き寄せていた体を離して、転がっていた石を使って地面に人割りを書いていく。
魔石について知りたいのはオレとキャルとアン王女。
扉と鍵についてはノアとリッドに任せていられる。
そうなるとグランディーネという一番危険そうなところにオレがいかなくて本当にいいのかとなる。
魔石ついでにコークと合流して、傷を治癒してコークにいってもらうというのが一番妥当のような気がする。
人割りはとりあえずコークと合流してからが一番いいのかもしれない。
一番危険そうなところにコークを配置。
それだけは譲ってやれそうにない。
一人でこの魔物の住処まで先にいくからだ。
アベルが戻ればコークと組んでもらえばいいように思う。
どっちもしっかりしているし、危険なところで無茶して死ににいくこともないだろう。
コークが今のように行動しようとすればアベルが止めてくれる。きっと。
頭となる人員は決まったとして、あとはそれぞれの希望で割り振って…。
なんて考えていると、オレの胸元、何かがもぞもぞと動く。
そこを見てみると、かなり遅い到着となったティンカーベルがいた。
『……もう休んでいいよね?みんな寝てるし』
疲れきった顔でオレの胸ポケットで休んでいる。
「お帰り。まだもう一つ。コークとの合流が残ってる。あとアベルは?」
『ノアがアベルを探せって言うからこんなに遅くなって戻ってきたんじゃないっ』
なんてティンカーベルは怒る。
「戻りました、隊長」
「食料山盛り調達してこいってことで時間もかかったけどな」
なんていう声に顔をあげると、オレに敬礼してみせているアベルについていった騎士とアベルがでかい荷物を背負って立っていた。
オレは心から安心して思わず息をついて笑った。
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