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避けることもできないまま、目の前にあの魔力の弾を見たはずだ。
なのに……生きている?
顔にふれても、やけただれた様子もなく。
負けたはずなのに、五体満足に生きている。
なんだろう?
今、ものすごく生きていてよかった…なんて思えてくる。
しばらくすると、扉をノックする音。
扉のほうを見ると、一人の女が部屋の中に入ってくるところだった。
「リビア…?」
オレがその女の姿を見て声をあげると、その女、オレの幼なじみのリビアーナ・シェッタはオレが起きていることに気がついたようだ。
「気がついたの?ライ、ずーっと眠ったままだったのよ?」
リビアは言いながら、オレの横になっているベッドの脇にあった椅子へと座る。
「どれくらい?……って、おまえっ、なに脱がせようとしてるんだよっ?」
オレはリビアの手から逃れるように身を庇う。
そう。リビアは平然と椅子に座ったと思ったら、オレのかぶっていた布団をはぎ、着せられていた服の裾をめくりあげようとしてきたのだ。
「怪我人の傷がどうなっているか確認するのは当たり前でしょ。ライこそ、なにエロ妄想してるのよ。ほら、早く上着脱いで」
リビアはオレの様子を見て、少し頬を赤らめてその頬を膨らませる。
あぁ。そういえばこいつ、看護婦なんてやっていたっけ。
ということは、ここは市の病院ってことだな。
オレはあまり見せたくない体を、渋々上着を脱いで見せた。
リビアはオレの胸から下、みぞおちに手を当て、治癒の魔法、ライブをかける。
ふわりと優しい光に包まれて、何か暖かいものが全身にまわっていくのを感じる。
もとから痛みは…そんなにないけど。
たぶん気を失っている間に、リビアに治療されたんだろう。
リビアの治癒能力はかなり優れたものだと思う。
「んー…。外傷は完璧に治ったみたいだけど、まだ骨に異常あるみたいね。はい、背中見せて」
オレはリビアに言われるままに背中を見せる。
なんか…、リビアが医者みたいだ。
まぁ医者よりも高い治癒能力があるかもしれないけど。
背中が暖かい光に包まれたのを感じた。
「ライ、あんた、すっごくボロボロでこの病院に担ぎ込まれたんだからね?もうこんな無茶はしないように」
ぽんっとリビアに背中を叩かれると、ビリッと軽く痛みが全身を駆け抜けた。
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