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「オラ、上向け」
「な、何で」
「キスするからに決まってんだろ」
「ななななななっ!ちょっ落ち着こう?ここは日本だよ」
「あん?」
目の前の男は、眉間に皺を寄せた。
その様子に、ざあっと顔を青くして目を泳がせる。
今いるのは、立ち入り禁止の筈の屋上。立ち入り禁止の忠告など見向きもせず階段を上がり、鍵のかかった扉を難なく持っていた鍵で開けた。
何故鍵を持っているのか聞いたら「知りたいか…?」と物凄い気迫で言われて縮こまってしまった。
もういいよ聞かないよ、好きに生きるがいいよ。
「焦れってぇな。わざわざ俺が上げさせねーとダメなのかよ」
「や、や!ダメというかキスがダメだね!やめて!」
とてつもなく不機嫌な顔をする目の前の男から、何とか逃げようと身を捩る。
「あのね冬芽君。ここは日本、イッツジャパン!外国じゃないの、そんなほいほいキスするのはちょっと!」
「…バーカ」
一言そう言うと、男…冬芽は少女――禀の顔の横の腕を下ろし、顎に添えていたもう片方の手も放した。
「ふー」
「何安心してんだ?次はねぇぞ」
「ふええ!?」
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