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「あぁっ!!もう、何やってるの!さいてー!!!さいってぇ!!!!!」
教室中の誰もが、その男・十八女大河(さかり たいが)の無実を確信しつつも、誰も口を開くことは出来なかった。中には、いつものことか、と早くも興味をなくしているグループもある。
破天荒な青生律子と、男女ともに分け隔てなく付き合えることが特技の相澤大河は、この学校では言わずと知れた名コンビである。
それゆえか、二人が騒いでいても、間に割って入る人はおらず、いつも、その役回りは真琴がこなすことになっていた。
真琴は、唯一二人と均等に付き合いがある人物であり、周りから言わせれば、ちょっとお邪魔虫なところでもある。
「りっちゃん!りっちゃん!」
「…………なに?」
青生の意外と平坦な声に驚いた。見れば、律子はスカートをこれでもか、というくらい押さえ、耳まで顔を赤くしていた。
鬼の撹乱という言葉があるが、まるでそれが目の前で起きているようだった。真っ赤だから赤鬼か。騒がしくしたかと思えば、急に大人しくなって、かと思えば急に自分の髪をくしゃくしゃっと掻き回す。
「…………りっちゃん」
「…だから、なによ」
再び声をかけると、ぐっと顔を下に向け、何かに堪えるように動かなくなってしまった。
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