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「ずぇんぜん!もう、ずぇぇぇんずぇんだよ!!ほら、元気げんき…っ!」
真琴は眠気を吹き飛ばす勢いで膝の屈伸運動をしようした。しようとして、足を滑らした。
片足が段差を踏み抜き、その拍子に足首を捻ってしまった。怪我としては大したものではなかった。
しかし、痛みは混乱を呼び、捻った足を庇おうとして、バランスを崩した。段差を一段踏み抜いていたことを、全く忘れていたのだった。
「お姉ちゃーん!!」
まっ……て、と言おうとして失敗した。表情には痛みと、焦りが出ていた。猛スピードで階段を下りてくる陸。
大丈夫だから。心配しないで。急いで降りて陸が落ちたら危ないから。
色んな言葉が頭を駆け巡ったが、結局どの言葉も口をついて出ることはなかった。
そして、こともあろうに、慌てて階段を駆け降りていた陸が………こけた。
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