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ことのあらましは現実の時間にして3分となかったはずだ。
しかし、その短い間に真琴は足首を捻り、弟に吹き飛ばされ、そして4段の階段をケツホッピングで堪え、後頭部には後ろ髪を結ってしまえば分からないほどの小さなタンコブを作った。
だけど、真琴は怒らなかった。脅威の胸囲のおかげで陸が無傷で済んだことも理由の一つだ。だが、もう一つ。彼女は狛泰(こまだい)神社の巫女さんだからである。巫女さんは、決して人の為を思って、走って、うっかりこけて弾丸のようなショルダータックルをしてきた少年を怒ったりなんかしない。むしろ、弟に宿題を溜める癖をつけさせてしまったかも、という心配が解けて安心しているくらいだ。
やっぱり陸はいい子だね。真琴は、抱きしめた手で、弟の頭を撫でた。
そう、彼女こそ駒泰神社下のスタンドバー虎樹木(とらじゅもく)の常連客あたりでは有名な爆乳巫女様マコトちんなのである。
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