#フラッシュフィクション

小説

54字の物語

#54字の物語

被疑者死亡

彼は顕微鏡で蜘蛛の巣を見ていた。パトカーがやってきた。逮捕された。裁判になった。

密室の真実

探偵と警官たちがアパートへつくと、男が何者かに毒殺されていた。部屋は密室だった。

ねんど男ショー

ねんど男ショーは、いつなんどき始まるかわからない。

羊と学者

牧場で学者は羊の群れを見ていた。正確にはある一頭の羊を見ていた。

鳥チューチュー

息子は口を膨らませて、ぎゅっと目を閉じた。 「こうすると、チューチューと、鳥の鳴き声が聞こえるんだよ」

魚屋

伸子と母親が鮮魚市場へ買い物に訪れた。魚屋の男が威勢よく声を張り上げていた。

砂利婆さん2

洗面所で彼女は鏡をのぞいた。ほっと胸を撫で下ろした。鏡に映っていたのは、

不幸分子分離機

科学者は男の頭へスティックを当てた。パチンと電流が走った。パチン、パチン、パチン。

おんぶお化け

ある夏の日の日暮れ、俺は山道を歩いていた。路傍に若い女がうずくまっていた。俺は女に近づき、尋ねた。

おばさんと大福

仕事帰りに彼女は家の近くの道を歩いていた。毎朝出勤するときと帰宅するときに、必ず通る道だった。

沢歩き

二人は沢沿いの山道を歩いていた。道は緑に包まれていた。涼しげなトンネルのようだった。

グラスワイン

廃坑で彼は将校たちに地面へ組み伏せられた。数十メートル先に的がかけてあった。

ナイススイート

ナイススイートでしたね流れていってしまいましたねちょっと曲がっていませんでしたねサマーランドをねらっていますクロス黒船か

三秒

時間監視局のエージェント・ロロはパネルを操作し、ターゲットとなる三秒を見つけ出した。

まけどにあ

「素直に負けを認めたらどう？」彼女はいった。彼はふてくされて黙っていた。

部屋

二階の部屋で子供たちが膝を抱えて座り、いろいろな話をしていた。中学受験の話になった。

蜂

彼女は心の旅をしていた。途方もなく長い旅だった。この世のありとあらゆるところへいった。どこへゆくのも一人だった。

物件

妻はスマホで物件を探していた。「この物件、広さも値段もちょうど良いけど、成約済みだって」

恐怖の大王

彼は寝室へ入った。布団の上に老婆が立っていた。

返り血

何このにおい

ウェイトレスは男の前へコーヒーを置いた。彼はコーヒーを口にした。熱いコーヒーが胃へ染み渡り、心地よかった。

新しい時代

ある晴れた日の早朝、川沿いの道を散歩していると、突如、新しい時代がやってきた。

木のおもちゃ

店で彼は木のおもちゃを手に取った。かわいいなあ、このおもちゃ。何の動物だろう。

砂利婆さん

洗面所で彼は鏡をのぞいた。ほっと胸を撫で下ろした。鏡に映っていたのは、

見知らぬ駅

男の子と女の子は電車に乗っていた。並んで座って、流れる景色を黙って見ていた。電車は下り電車だった。

ナマズ

　ナマズが未来へ向けて超音波を発した。超音波は何かにぶつかって反射してきた。

ハナとヒロシ

二人は見つめあった。「ハナちゃん……」「ヒロシくん……」唇と唇が近づいた。

藁玉人夫

喫茶店で義母と娘婿はコーヒーを飲んでいた。ガラス戸の向こうに、ジェットコースターのレールが連なっていた。

蟻と弟

弟は一人で船に乗り、海へ出た。戻ってこなかった。兄は心配になった。弟を探すため船に乗り海へ出た。