このたびは、「ポプラキミノベル小説大賞」に、たくさんのご応募をありがとうございました。 　第二回となりましたが、創刊二年の新しいジュニア文庫に、多くの方から作品をお寄せいただき、とても光栄に感じています。 　本賞では、小学生～中学生を対象とした、フレッシュな恋愛ストーリーを募集した「キュンキュン胸がときめく物語部門」と冒険、謎解き、バトル、ホラー、サバイバルなどの「ワクワク心がはずむ物語部門」の二部門の募集を行いました。 　最終候補作はどれも魅力的な作品で、選考会もさまざまな意見が飛び交い、大変盛り上がりました。その中でも特に選考委員が強く推した3作品を大賞とさせていただきました。 　いずれも筆力があり、キャラクター造形、構成力、文章力など、レベルの高いものでした。しかしながら、3作とも小学生～中学生の読者に届けるにはやや大人っぽい内容で、小中学生向けの改稿を前提に受賞とさせていただきました。編集者と相談の上、改稿していただき、ぜひ児童文庫のメイン読者に楽しんでもらえる形で刊行したいと思っております。 　歌津ハルカさんの『さよなら、DDくん』は、3か月ごとに恋人を取りかえるDD（誰でも大好き）くんに主人公が偽りの彼女に任命されるところから始まります。設定の引きの強さがアイディア倒れでなく全体に生きるように描かれており、最初は全くその気がなかった主人公が次第にDDくんに惹かれていく様子も自然な流れで説得力がありました。 　寧子さくらさんの『彼は今日も美少女の仮面をかぶる』はヲタクを隠して生きる女の子と、コスプレイヤーの男子の物語で、それぞれ好きなことを貫く二人のキャラクターに爽快感がありました。また、場面転換が多く読者を飽きさせない工夫があり、構成の巧さも際立っていました。 　小金井ゴルさんの『呪いのメイズさん』は、主人公が夢の中で不思議な少女「メイズさん」と出会うところから物語が始まり、ミステリアスな同級生や教室の人間関係、街で噂になっている幽霊屋敷の謎などドキドキハラハラさせる要素が満載でした。児童向けには、一部強すぎるホラー描写もありましたが、それを超える作品の魅力、構成力と文章力を感じ、受賞とさせていただきました。 　両部門ともに魅力的な作品が多数ありましたが、全体的に主人公やストーリー設定の対象年齢が高いものが多い傾向でした。児童文庫向けに改稿しても面白いかどうか、ということを念頭に選考いたしましたが、ローティーンの読者が心から楽しめるもの、ということを意識していただければと思います。 　また、ワクワク部門では、つきぬけた意外性のある設定やキャラクター、シリーズで読みたくなるような作品が少なかったと感じています。自由な発想でどんどんチャレンジしていただけたら嬉しいです。 　これからも「ポプラキミノベル」では書き手の方と共に、読者の子どもたちがドキドキワクワクして、引き込まれて読みたくなる物語を作っていけたらと思っております。 　大賞受賞の3名の方の作品は、児童文庫の形にさせていただき、たくさんの小中学生読者に届けたいと思いますが、今回ご応募くださったすべての方のさらなるご活躍をお祈りしております。 （ポプラキミノベル編集部）