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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第199回「雨よ降れ」
 物語における雨は、登場人物の暗い心情に合わせて使用されることが多く、憂鬱なイメージがあるもの。しかし寄せられた作品には“全てを洗い流す=再起のきっかけ”を始めとしたポジティブなものも多く、「雨よ降れ」という祈り・願いとうまく組み合わされていました。  一方で、単に雨模様の描写があるだけで、テーマに昇華できていない作品も多かったです。テーマごとのニュアンスを物語にどのように活かすのか、発案段階で一考してみてください。

大賞

天才トレーダーの元に家政夫として派遣された主人公。言葉少なで必要以上の介入を求めない彼だったが、あることをきっかけに少しずつ距離が近づいていき......。会話は決して多くありませんが、その分想像する余地が十分に残されており、物語にどっぷりと没入出来ました。タイトルに込められた意味に胸が締め付けられます。設定や描写のレベルが高く、完成度の高い作品でした。2人のこの先の幸せを願わずにはいられません。

準大賞

ずっと仲良しの男女4人組。夏休みに流星群を見に行く約束をしたけれど、私は正直気持ちが上がらない......。まるでショートフィルムのように、まばゆい瞬間を切り取った青春小説です。自分の気持ちを取るか、“いつも通りの日々”を守るか。登場人物が魅力的に描かれており、全員を応援したくなりました。行く先を明るく照らすような、希望に満ちたエンディングも素敵です。

入賞

目が見えない代わりに他の五感、特に聴覚に優れた書店員の主人公。雨の日だけ店に訪れる女性に想いを寄せるものの、恋愛に臆病な彼は一歩が踏み出せず......。丁寧に選ばれた言葉の数々が美しい作品で、情景が目に浮かぶようでした。「目の前の臆病者が発した精一杯のサイン」という言葉に心を掴まれます。2人の今後が気になるお話です。

佳作

家庭での不満、仕事のストレス。やりきれなくなった主人公は衝動的にある行動をとるのだが……。不穏さいっぱいの冒頭から一転、思わず「そっちかー!」と声が出てしまうような斜め上の展開に惹きこまれます。主人公とその相棒のコミカルな会話、迫力ある展開も魅力的。それまでが明るいだけにしんみりしてしまいそうな最後ですが、ラスト1行に優しい余韻を残す結びも見事です。
天才魔法使いである親友を追うため、魔法の修行に励む主人公。しかし、彼女の「雨の魔法」はいつも空中で霧消してしまい……? 焦りやもどかしい想いを抱えながらも懸命に努力を重ねる主人公を思わず応援してしまいます。ハラハラする中盤から一転、まさかの真実に驚きで目を瞠りました。想いの強さが奇跡を起こす、素敵なファンタジーです。
雨の日のコインランドリーで、清潔で清純なカップルに出会った主人公。雪のような純真さを持つ少女と、コインランドリーで会うたびに会話するようになるのだが……? 自分にはないものを持つことへの憧れと、自分の元まで堕ちてほしい想いがないまぜになる倒錯した様子、主人公の中に巣食う様々な感情が混ざり合って溶け、少女の中に注がれていく背徳感にゾクゾクします。筆力の高い作品でした。
雨の日に軒先を借りに来る女性。進路に迷う主人公に対し「やりたいことをやればいい」と語るが……。主人公が抱える人生の岐路を軸に描かれる、少し不思議な物語。魅力的なアイテムが序盤から次々に登場し、世界観に惹きこまれます。時代、境遇に阻まれ叶えられなかった過去の強い思いが、いまの若者の未来をあたたかく応援しています。読了後、胸に様々な想いの残る作品でした。
同じ時間を過ごすうち、いつの頃からか少しだけ距離が出来た夫婦。夫は雨の写真を撮影するのが趣味になったのだが……。心に傷を負った妻に寄り添い、優しく支える夫の愛が沁み込んでくるヒューマンドラマです。苦痛、苦悩といったつらい気持ちからゆっくりと立ち上がる姿に雨上がりの晴れやかさが重なります。雨上がりのすがすがしさが感じられるようなお話でした。

超短編賞

花火大会の日、マンションの屋上から地上の人々を眺める男女。女は雨が降ってほしいと強く願っていて……。彩香が見せる危うげな感情の揺らぎと、主人公の静かな物腰の対比が情緒豊かに物語を彩っており、ドラマチックでした。なぜ彼女は煙草を吸ってほしかったのか、考察したくなります。

続きが読みたい賞

失恋のダメージが癒えず、どん底状態で雨に濡れた主人公は、偶然にも中学時代のクラスメイトと再会して……。雨とくせ毛というマイナスの組み合わせをプラスに活かした、さわやかな青春ストーリー。傷ついている主人公に手を差し伸べるハル坊の優しさに癒されます。新たな恋の行方をもっと見てみたくなりました。
友人の頼みで、幼馴染を交えたWデートをセッティングすることになった主人公。しかし幼馴染は意図を勘違いし、複雑な構図が出来てしまい? 主人公が自分の気持ちに気付くまでの流れが、テーマを活かしながら無理なく展開されており、ドキドキしました。苗字のやりとりもおもしろく、くすりと笑えます。

トンデモ賞

窓際に飾られたまま忘れられた、てるてる坊主視点で語られる温かな家族の日常。愛情いっぱいに見守るてるてる坊主が、最後に見せたほんの少しのワガママに、思わず共感してしまいました。その意思を汲んでくれた相棒のカーテンの気遣いもにくいです。

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2023年5月24日(水) 12:00:00 ~ 2023年6月25日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2023年8月中旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第199弾です。 今回のテーマは、「雨よ降れ」です。 どこかに必ず「雨よ降れ」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・曇り空を見て、傘を持ってないと言うあいつ。どうか雨よ降れ、そしたら私の傘に誘えるから。 ・干ばつに見舞われた村は、山神への祈りと共に、若い娘を生贄に捧げることを決めるが――? ・雨の日に人が殺される事件が続発。現場には必ず、逆さてるてる坊主が残されていて……。
じめじめした季節は晴天が恋しくなりますが、雨が降らなければ人も動物も生きてはいけません。 そんな「雨よ降れ」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
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応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第200回のテーマは「これからもよろしく」です。 本コンテストと平行する形で2023年6月14日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第200回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト