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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第238回「冬の朝」
静謐なテーマ性ゆえか、動きが少なめの静かなシチュエーションの物語が目に留まりました。いつもより青春系や恋愛系が多かったのは、クリスマスや大晦日、バレンタインなどの行事を冬の行事をモチーフにできるお題だったからかもしれません。雪や白い息、温かいコーヒーといった“冬の舞台装置”をいかにうまく使いこなし、物語に深みを出せるかが面白さに直結した印象。「朝」を始まりと捉える一方、日が昇ることで区切りや終焉に結びつくものもあり、状況によって受け止め方が異なるところに多様性を感じました。また、夏だと開放的になるように、対照的に冬の寒さは閉鎖的だったり、内省的な部分と結びつき、その心情をどう描くかという部分で物語に余韻や深みを与えている作品が多かったです。

大賞

登場人物それぞれが自分の感情を持て余し気味で、読んでいて胸が苦しくなる瞬間もあるアオハルもの。それぞれの関係性と感情が伝わってくるので、彼らの気持ちに寄り添える物語になっていたのもよかったです。また、ラストのカタルシスには思わず安堵の笑みがこぼれました。口実の作り話だと思っていた幽霊がいい仕事をしてくれるオチも、エンタメとして絶妙でした。

準大賞

恋人どころか友人ですらない距離感のクラスメイトとの、束の間の逃避行。人づきあいが苦手な主人公が巻き込まれる形とはいえ、重たい業を背負ってしまった彼女の隣に寄り添う姿、ラストへ向かって切なさややるせなさが高まっていく展開は胸に響きます。植えられた花と自らの運命を重ねた彼女の魂が、主人公と見た海の想い出に癒されることを願ってしまいます。

入賞

透明感のあふれる言葉で紡がれるテキストはまるで一編の詩のようでした。目を見張るような大きなイベントは起こりませんが、別れた恋人への想いを吐露し、気持ちを引きずりながらも前に進もうとあがく主人公の心情が、じんわりと心に染み込んできます。文章のリズムのよさとポエム的な口調が情景を読み手の中に浮かび上がらせてきます。

佳作

北海道の郷土料理のほのぼのとした話だと思ったら、料理と異世界転生ものをうまくかけあわせた摩訶不思議な作品でした。イケメン魔法使いたちが郷土料理をめぐって争うというノリノリなコメディテイストですが、美味しい食事さえあれば世の中は平和なのかもしれない。そう思わせてくれる真面目な一面も垣間見られて面白かったです。
脱サラして漁師を始めた夫の危機。無事を祈る妻である主人公の心の機微がしっかり描写されており、感情移入できます。夫の無事がわかった時には涙ぐんでしまいました。厳しい冬の海で戦う心の強さは、帰る家があるからこそ……そう思える夫婦の絆は温かく、彼らを照らす朝の太陽のように眩しかったです。漁師という自然と向き合う仕事の厳しさも伝わってきました。
白と灰色のうさぎの兄弟の童話的なものも感じられる物語。優れた頭脳を持つがゆえに、狼から群れを守るための最良の手段が阿吽の呼吸で分かってしまう2兎の葛藤と、胸に秘めた覚悟の強さに心をグッとつかまれました。うさぎの瞳が紅い理由はもしかして……と思わせる、切ないラストにも引き込まれます。短くも重厚な物語が展開していき、書き手の筆力も強く感じました。
日常と非日常、一瞬で世界が変わってしまう出来事を描いたヒューマンドラマ。主人公にとってはトラウマのようになってしまったタバコの香りが、少女にとっては救いになったのかもしれない。この出会いに何らかの意味があったのかもしれない。そう信じたくもなる、とても印象的な読後感でした。心の柔らかい部分を突き刺されるような痛みのある物語ですが、それができる文体と筆力でした。
ゆで卵からはじまる「わらしべ長者」的な物語を現代の高校生でやったという物語。とにかく気がいい主人公が魅力的で、彼の心根のよさが伝播していく流れが心地よいです。ラストもキュンとしてしまいました。物々交換でゆで卵がどんどん違う物質に変わっていくという展開がコミカルで読んでいて楽しかったです。

超短編賞

タイトルも含め、意味がわかると途端に解釈が変わるラストシーンが鮮烈な超短編作品。不器用な形で距離を詰めようとする後輩君が可愛らしくてほっこりします。これで主人公が色々と察してくれればいいけれど……と、先が気になる終わり方でした。最後にいろんなことがわかりますが、この短さだからこその淡々さもよかったです。

続きが読みたい賞

冬の朝、喫茶店でコーヒーを飲みながらしゃべるだけの関係。お互いに秘密を抱えた男女が、互いを知ろうと不器用に距離を縮めていく描写にときめきました。明らかに両片想いながら、想いを伝えあう形もまたぎこちなく、お似合いの二人。余韻と含みのあるラストも素敵でした。二人のこの先も読んでみたくなりました。

トンデモ賞

該当なし

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2025年1月8日(水) 12:00:00 ~ 2025年2月9日(日) 27:59:59 ・最終結果発表:2025年4月上旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位20作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位20作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第238弾です。 今回のテーマは、「冬の朝」です。 どこかに必ず「冬の朝」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・長年片思いし続けたあの人へ、卒業までに告白すると決めた。でも朝に駅で待ち伏せしていたら……。 ・ある朝、豪邸で老人の死体が発見される。門から玄関まで、雪面に残る片方だけの足跡。誰が、どんなトリックで彼を殺したのか。 ・冬の朝だけ咲く、見ると願いが叶うと言われる花。それを求めて毎朝ある場所に通っていたけど……。
凛とした空気が漂う冬の朝は、なんだか気持ちをシャキッとさせてくれますよね。 そんな「冬の朝」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
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応募の辞退について
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次回予告

次回、妄想コンテスト第239回のテーマは「涙の理由」です。 本コンテストと平行する形で2025年1月22日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第239回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト