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小説力を伸ばす3つのステップ 育成コンテスト 第2弾「シーンと描写」
今回は通常の妄想コンテストと異なり、セリフのみで進んでいく掌編が少なめだったのが印象的でした。これは応募してくださった皆さまが「テーマに沿ってシーンを描写する」という課題に向き合い、試行錯誤された証左だと感じました。 第1弾の『キャラクター』と違い、今回は主人公の設定はそのままで、描写の力で物語のカラーを塗り分けるというお題です。とはいえ、世界観に合わせてキャラクターの色合いも変わっていきます。なかには、描写というよりキャラクターの陰陽を変えることで書き分けをしているケースもありました。また、オチの違いでホラーとコメディの差を出した作品もあります。それはそれで面白い試みですが、この場合、問われるのは「オチに至るまでの描写に怖さ・楽しさを醸し出せているかどうか」だったかなと思います。 受賞に至らなかった作品が、書き分けできていないということではありません。 受賞した作品は、章ごとにコントラストをつけた描写ができた上で、さらにドラマとしての質が高かったものです。 それぞれ世界観をきっちりと浮かび上がらせる適格な語彙と描写力に富み、あらすじという骨格に、綺麗に肉付けがされていました。 描写というと、ともかく語彙をたくさん覚えればよいと思われがちですが、辞書を丸暗記しても、実際に使えるかどうかはまた別です。 古典的な手法ですが、乱読する必要はないので、自分の心が震えた作品を心ゆくまで浸り、読み込むことをお勧めします。 単語単体ではなく、文章の流れの中で、どう使うかを会得できるからです。 また、たまに敬遠していた作品を手に取るのもお勧めです。自分の好みとは違う、意外な単語や比喩に出会うことがあるからです。 表現の手段をたくさん持っているということは、絵画で言えば数多くの絵の具を手にするようなものです。色彩豊かな世界を描くために、描写力は磨いておいて損はありません。 今回チャレンジしてくださった皆様にとって、この試みが創作へのよい影響になりましたら幸いです。

大賞

ゴシックさとラノベ風のコミカルさの書き分けが見事です。月下にぴしりと石像の割れる音がしそうな1章のオープニングと、爆発から始まるコミカルな2章など、一つ一つのシーンがそれぞれの世界観に合わせて演出されていました。今回の課題のお手本ともいえる出来栄えです。そして、テクニカルな部分だけでなく、ドラマ性に富み、この文字数で百年にもわたる二人の関係と感情、立ち位置まで描けているのが秀逸でした。

準大賞

一家の父の死を描いた作品。見事な描き分けでした。第1章では家族が軽やかに死を受け止めながらも、「その夜、家は静かだった。でも、完全な静けさではない~中略~父が作ったものたちが、ただそこに在る」と、静寂の中で喪失の痛手を描写し、2章では父が作った手作りの靴箱に足の小指をぶつけると、「……ちょっと、お父さん!」「死んでからも罠仕掛けんといてよ!」と軽妙に死者へ文句を垂れています。母親までもが「何? お父さん出た?」という反応で、章全体がちゃんとコメディになっていました。コメディタッチとなるとはしゃいで笑いを取る書き方が散見された中で、「クスっと笑えてほんのり泣ける」という絶妙な質の良さでした。

入賞

どちらも同じように雨の中で歩く主人公の書き分け。実は、「道を歩いていて後ろから何かが来る」というホラーバージョンはほかにも何作か見られたのですが、本作はコメディバージョンの描写がとてもお上手でした。無理にハイテンションにさせず、不気味さを感じさせながらクスっとくるオチまで、怖さと笑いが無理なく展開しています。

佳作

かつての同級生で恋人同士だった二人が「思い出の曲」を奏でる。筋書きは全く同じで、曲のチョイスが変わるだけでおかしみが生まれています。小道具の使い方がお上手でした。また、シリアスバージョンも、雰囲気の作り方が上手く、しっとりした世界観を描いています。
片方はヒューマニックに、もう片方は笑えてちょっと泣けるを目指した描写。粗削りながら、やろうとしたことが読者に伝わっている作品です。1章のほうで、何も表情を窺えない祖父の内面に、孫娘が推察を入れていたら、もう少し伝わりやすかったかなと思います。狙い処を含め、センスや感性が豊かなので、次作が楽しみです。
告白の2バージョン作品。これは実に惜しいのですが、第1弾の『キャラクター』の課題だったら、きちんとキャラの描き分けができていて、もっといい評価になったと思います。心理描写がよかっただけに、本当に惜しかった。
お化け屋敷で2バージョン。わかっていても怖いと思う人の気持ちと、あくまでも技術的な部分に着目してしまう人、どちらも上手く描写し分けているなと思ったら、オチの一撃がスマッシュヒットしてきます。やられた、と思いました。
1章のホラー感も雰囲気が出ていましたが、2章の斬新さはなかなかのもの。怖い話をコメディタッチにする場合、その多くが主人公に冷静さを与え「怖がらない」ことで違うベクトルにもっていこうとします。本作もその流れに乗ってはいるのですが、便器に流される肉片や目玉など、ビジュアルの惹きがとても強かったです。しかもそれが無理のない設定になっており、最後の章ではホラーに現実感を与える補強がなされていました。文献に基づいているからこそ、最後の一文にぞわりと来ます。
エレベーターという密室に男女二人きり閉じ込められた場合、相手の挙動一つ一つがとても気になってきます。1章めはその警戒感マックスで表現し、2章めでは自分が感じていたことと相手が思っていたこととの差異を描いて、怖さと面白さを浮き上がらせていました。一続きの話で見事に課題をクリアした作品です。
どちらもコンビニで元カレに出会う流れですが、第1章で問題になるのは「その記憶は本物か?」という認知のホラー。二つの章で同じ話を書き分けるというお題に沿っているがゆえに、1章めのホラーが際立っています。課された設定をフルに生かした秀作です。
鬼百合という、それ自体に意味はないけれど、描写の仕方によっては不気味さを醸し出すアイテムを上手に使って、文中に“匂わせ”をしているのが秀逸。また、主人公の年齢設定をぼかすことで、鶏の血抜きの印象が変わるのも納得がいきます。一つ一つの風景やセリフに雰囲気をまとわせ、「何も起きていないのに怖い」を醸し出せています。また、第2章のコメディ版は、お嬢様言葉をベースにすることで全体の空気をコミカルにし、飯テロを可愛らしくまとめていました。
一見すると、主人公のキャラによる違いが大きいように見えますが、ちゃんと書きぶりで悲劇的・喜劇的にベクトルが変えられています。さらに素晴らしいのは、悲劇編でシリアスに展開しながらも、笑えるオチを付けているところです。喜劇編とは異なる笑いを作れていました。
主人公が同僚だった幽霊に再会し、恋人の浮気を知るという筋書き。視点揺れなどの粗削りな部分はありますが、「同じ筋書きで描写によって悲劇・喜劇に変える」という課題をクリアしています。同じように幽霊に会うのでも、夜と昼では印象がだいぶ変わります。また、その後の演出も、ナイフに象徴される「恨みを晴らす復讐方法」と、「幸せになって過去の自分を見返す」のとで、くっきり描き分けているのがお見事でした。そして、どちらも主人公・幽霊の心根の良さがにじみ出ており、ほろりとさせられるエンディングが印象的でした。
第1章の「何かが起きるのか!」とハラハラさせながら、全く何も起きない感じと、第2章の「何かが起きてるのになんてことない」感との対比がお見事です。一つ一つの描写に雰囲気があり、「空気感」を描くのがお上手だなと思いました。
魔が差してウソをついてしまった主人公の2パターン。ややキャラの影響が大きいものの、シリアス編の主人公は蠱惑的な囁きで彼を支配し、コメディ編の主人公は「……あなたは~略~ポメラニアンが……大好き」と睡眠中に洗脳するなど、笑いを誘う演出のセンスが光っています。どちらの章も雰囲気の書き分けがお上手で、特に1章のゾクリとする終わり方は怖さが後を引きます。
入れ子構造にした作品。シリアスとコメディのバージョン違いも面白かったですが、それはシナリオ案、と書かれて「ふーん、なるほど」と安心させてからもう一段オチを作るという念の入れようです。
描写だけで直球勝負をかけてきた作品。王の呼び出しに応じて馬車に揺られていく主人公。その先に何が起きるのかもわからず、また主人公の出自も立ち位置もわからないまま、希望を持たせた描き方と、不穏を含ませた描き方できちんと雰囲気を作れていました。
スケジュール
2025年12月10日(水)12:00:00 ~ 2026年1月11日(日)27:59:59 ・最終結果発表: 2026年3月上旬頃予定
賞
大賞(QUOカードPay3万円分+選評)1作品 準大賞(QUOカードPay2万円分+選評)1作品 入賞(QUOカードPay1万円分+選評)1作品 佳作(選評)数作品  ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。
募集概要
「小説力を伸ばす3つのステップ 育成コンテスト」 小説力アップを目指す方にぴったり! 100文字で腕試しできる“育成型”コンテスト、第2弾です。 魅力的な小説を創作するのに欠かせない“3つのポイント”にフォーカスした全3回集中開催のコンテストです。 通常回とは少し違う視点から選評されるので、作品の長所を伸ばしたい方や、苦手を克服したい方におすすめ。 小説がうまくなりたい、自分の欠点を直したい…そんな創作のお手伝いを目的としています。妄想コンテストとmonokakiのコラボ企画として開催される特別回、奮ってご応募ください。 第2弾のテーマは【シーンと描写】です。 物語を鮮やかに伝えるには、印象的なシーンづくりと的確な描写が欠かせません。 魅力的な描写や躍動感のあるシーンをどう描くか、その力を磨く回です。 場面転換や描写に焦点を当てて選考・選評します。 【第2回育成コンテストの課題】 今回は、同じ筋書きを「第1章はシリアス(悲劇やホラーなど)」、「第2章はコメディ(ラブコメやギャグなど)」で書いてみてください。主人公は男女どちらでもかまいません。雰囲気が変われば、1章・2章の順番は逆でもOKです。また、登場人物は人外もOKです。
monokakiにてシーンと描写に焦点を当てた記事を公開しております。

是非参考にしてみてください!

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【Q&A】 Q:1章・2章で同じ人物しか出してはいけないですか? A:主人公は同じにしてください。その他の人物は多少変わっても問題ないですが、「同じ筋書きなのに、セリフや演出で雰囲気が怖くなったり笑えるものになる」という課題なので、なるべく登場人物が同じほうがベストです。 Q:1章が異世界、2章が現代などのように、場所の設定が変わるのはアリですか? A:OKです。今回の課題は「シーン」と「描写」なので、同じ話で異世界らしいシーン、現代らしいシーンで差を描ければ問題ありません。 Q:1章で人外、2章で人間などに変えてもいいですか? A:「描写」がお題なので、主人公の基本的な設定は変えずに書いてください。 Q:登場人物のキャラクター(性格)が1章と2章で変わってもいいですか? A:OKです。名前や属性、性別などは同じにしてください。演出に合わせて多少性格を変えても問題はありません。 Q:筋書きは全く同一でなくてはいけませんか? A:大筋が同じであれば、細かな演出やシーンは自由に変えてかまいません。筋書きの中のどのエピソードをクローズアップするかで、物語の見え方に差が出ればOKです。 Q:1章・2章で登場人物たちのセリフは変えていいですか? A:OKです。 Q:登場人物の視点を変えることで、1章・2章に差をつけてもいいですか? A:できるだけ視点は変えずに書くほうを推奨します。 Q:課題に記載されたルールに忠実に制作しないといけないですか? A:課題に記載したルールの要素が入っていれば、章ではなく話やページで分けたり、課題以外の内容を入れたり、自由にアレンジしていただいて構いません。 <作例>

①筋書きが「桃から生まれて、鬼退治に行き、成敗する」 ・1章で「村に残された唯一の桃から真面目な主人公が生まれ、期待を背負って戦いに行き、皆殺しにする後味の悪い勝ち方で闇落ち展開」

2章で「真面目で桃のようにつやつやの美少年に猿や犬が惚れ、全員で力を合わせて戦い、ヒーローになるハッピー展開」

②筋書きが「悪役令嬢に転生した女性が、王太子の妻になる」 ・1章で「クールな令嬢は悪役へと陥れる枢機卿の陰謀を暴く、その中で王太子と共闘するシリアス展開」

2章で「クールな悪役令嬢は簡単に枢機卿の陰謀を暴くが、王太子にはデレてなかなか甘い顔ができず、妻になるまでが大変な甘々展開」

③筋書きが「学校から帰る道すがら、コンビニに寄ってアイスを食べる、何かが起きそうで何も起きない」 ・1章で「夕暮れ時の不気味感を描写し、なんとなくホラーっぽい怖さ演出」

2章で「ふんわりした幸せ感を出し、アイスの美味しさを描写するほのぼのテイスト」

応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(3行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※応募はお一人様5作品までとなります。5作品以上ご応募いただいた場合、応募された順に新しいものから5作品のみを選考対象とします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、小説力を伸ばす3つのステップ 育成コンテスト第3弾のテーマは「文章テクニック」です。 本コンテストと平行する形で2025年12月24日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の小説力を伸ばす3つのステップ 育成コンテスト第3弾の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

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