橡は昔自殺した女子生徒の幽霊が出る、という噂を確かめるために、悪友たちと幽霊が出るという旧校舎の屋上に向かった。そこで橡は本当の黒髪の幽霊少女に襲われ、気を失ってしまう。目を覚ますと、彼女の髪の色が変わり、別人の様に穏やかになったていた。その彼女には触れられず、橡以外には見ることもできない。彼女は橡につきまとうようになり、日常に幽霊少女がいる日々が始まった――。人と幽霊の、小さな恋の物語。

ある日突然、OLの葉月が一人暮らしをしているアパートに美貌の男が現れ、別の世界の魔王だと言う。どうやら葉月の部屋が異世界と繋がってしまっており、それから魔王が不作為に部屋に現れるようになった。マオと名付けた彼の出現と彼と過ごす時間を心待ちにするようになり、奇妙な関係ができていく。しかし、1年後を節目に二人の日常は崩れ始める――。世界を超えた純愛ストーリー。

女子高生・オソノイは親友の瑞羽を、学校一番人気の女子・紅葉に奪われてしまう。オソノイの余命は長くなかったため、暫くして失意の中生命を落としてしまうが、気づくと過去の世界に戻っていた。実は紅葉の後ろには、愛弓という少女がおり、愛弓は瑞羽の過去の過ちに漬け込み、紅葉を通じて脅しをかけていたのだ。オソノイは全てをやり直すために、Vtuberになることで状況を切り開き、逆襲を始める――。知識チート無双恋愛SF物語。

12歳の雫は義父と母と共に行った旅行の帰りに、交通事故で死んだ。死の間際で、民宿を持っている祖父たちと過ごした楽しい時間を思い出していると、目の前に祖父の幻が現れた。祖父は彼女の「おじいちゃんの民宿がある海をもう一度見たかった」という願いを聞き、次の命日までの生命を与えてくれる。雫が目を覚ますと20歳ほどの姿になっており、1年だけの奇跡の日々が始まった――。海辺に立つ民宿で語られる、限りある時の中の日常物語。

社会人5年目になる和泉は、東京高円寺で8月最後に開催されるイベントで、阿波踊りをはじめて眼前で見る。その中の「流粋連」というグループの踊りを目にした時、心を切り裂かれるような衝撃を受け、突き動かされるまま、高円寺に引っ越し、流粋連に加入する。そこで様々な人々と出会い、翌年の夏を目指して、阿波踊りについて学びながら、あの日の感動がなんだったのかを探す。都会の人々と伝統の踊りが色なす人間ドラマ。

大手コンサルタント会社に入社3年目の詩織は「冷たい仕事人間」であり、人に思いやりのない憎き上司であるはずの楠木の寝顔に、なぜかキスをしてしまった。その後、気づかれた様子がないのにほっとするが、それからは楠木の一挙手一投足が気になって仕方なくなってしまう。これが恋かと思うが今は仕事が優先と、そちらに集中しようとするも、仕事に専念するほどに楠木の魅力がわかってきて――。仕事も恋愛も全力投球のOL恋物語。

国中央に総本部を持つ、国家組織セルビリア。それは2年前の世界戦争で絶対的な活躍を見せ、国を救ったことで、国民から絶大な信頼を得ている組織だった。セルビリアの構成員に選ばれるために、若者たちが厳しい訓練に耐え抜いており、その中にゾーイという少年がいる。彼はボスの養子であり自由な行動が認められており、圧倒的な力を隠していた。彼は才を駆使し、ある目的のため、全てを陥れてゆく――。ピカレスクファンタジー。

「オレ」はスラム街で親友の《　》と共に生き抜いていた。ある日《　》は「オレ」に「大商人の馬車を狙う」と言った。「オレ」は怖気づいて逃げたが、《　》は1人で馬車を制圧して戻る。しかし次の日報復に来たダルヴェニーという男に《　》は殺されていた。「オレ」はダルヴェニーに復讐する力をつけるため、傭兵となって修羅場を潜ることを望む。彼はダルヴェニーを通じて傭兵団に出会い、己に目覚めてゆく――。忘却から始まる英雄譚。

淀川守は「連続殺人鬼を専門に扱う探偵」である。彼が事件に関わるのは、出所不明の「シリアルキラー」から奇妙な挑戦状が送られてくるからだったが、それは送り主の大言壮語に終わることがほとんどだった。しかしある日、本当の連続殺人鬼が出現し、警察からの依頼で女性警察官の白崎奏と共に対峙することになる。そして犯人を捕まえたかと思っても、謎を残したまま、新たな挑戦状が届けられる――。探偵vs連続殺人鬼ミステリー。

1999年のハロウィン、小学6年生の辰巳は連続殺人事件に巻き込まれ、母と姉を殺されてしまった。容疑者は死亡し事件は解決――したように見えたが、2019年になり、警察官の沙耶と結婚し、愛美という娘を授かった辰巳の周囲も20年前の様に殺人鬼の影が彼らに忍び寄ってきていた。犯人への道標となる、チェバの定理ならぬ「チェバの刀殺点」とは？次々現れる謎の向こうにある真実とは一体何なのか？折り重なる謎に挑む正統派サスペンス。

美咲はリモートワーク化により東京から故郷に戻っていた。そこは30年以上前に大規模開発された集落で、住民全体が高齢化している。そこでの日々が続きやってきた秋に、公園で若い男の死体が発見された。捜査は進むが、犯人はわからない。そうしていると、集落の人々に奇怪な動きが見え始めた。新興宗教が蠢き、また東京から来た美咲は疑念の目で見られ、犯人に仕立てられそうになる――。閉鎖空間が生み出す歪みを描いたミステリー。

仄暗い黄泉の国の住人である椿は、彼女が「母」と呼ぶ存在の命によりイザナギノミコトを探すために、人間界にやってきた。人間界に潜入している鬼の亜種たちの力を借り、学校生活を始めると、新学期の自己紹介の挨拶の時に、筑紫という男子がイザナギノミコトだと直感するが確信が持てず逡巡する。彼女は不器用に少しずつ人間社会に馴染みながら、筑紫のことを知ろうとしていく――。神と人間の境界を越える、あやかしの物語。

日本人女性のリョウは、人の心が読めるという能力を生かしてアメリカの諜報員として活動している。インドから帰国したばかりでの車の大移動中、道を間違えしかも事故を起こして意識を失ってしまう。そこに通りかかった、牧場で働く野性的な男・ジャンに助けられるが、彼も諜報活動をしており、それ故にリョウは疑われてしまう。誤解を訴え、すれ違いを埋める内、二人の距離は少しずつ縮まっていき――。異能力アメリカンロマンス。

森下明里と弟の海里は、キャバクラで働く母親に育てられた。父親は明里が7歳のころに出ていってしまい、そんな中で、明里は新聞配達をして生活を支えながらも生徒会長を務め、必死に生きていた。ある日、三橋亜華梨という、同じ名前の美少女が転校してきた。明るい亜華梨は人気者になるが、明里は合わないと拒絶していた。そんな明里に亜華梨は「私から逃げられると思うなよ？」と言い明里の日常を壊し始めた……。青春サスペンス。

鵠山藩で藩主の息子たちが相次いで怪死、男子後継者が尽きようとしたところ、長女の婿となる虎之介が後継者に抜擢された。突然十五万石を継いだことで快く思われていない上に、怪僧が暗躍し、夜には彼を眠らせて何事かを行おうとする悪鬼が現れ、と様々な難事・怪事が虎之介を襲い、江戸に残した幼妻・真喜さえ危険に晒される。しかし虎之介の勇気と不思議な仲間たちの力により、敵は次第に姿を顕にし始めた……。妖怪退治怪談浪漫。

心霊現象研究会の副会長である真一は会長の響子が自殺したと聞き、会の夏の定番企画である要塞島への心霊スポットツアーは中止になると思っていたが、響子から連絡が入った。彼女が自殺するはずがないのだと安心し、ツアーは予定通りに行われることになった。しかし集合場所には響子は現れなかった。だがツアーが始まると、この世のものとは思えない存在となった響子らしき存在が姿を見せるのだった――。ホラー＆ラブストーリー。

オバサンだった主人公が、全寮制学園に通う高校生男子・悠斗に転生した。元の名前も覚えておらず困惑していると、寮の同室の美形男子・渚に心配されながら今の自分について知っていく。悠斗は元の自分に戻りたいと思いながら、今の生活に馴染む努力を始める。しかし、普通でいたいのに渚に熱烈に慕われ、他の美形男子に囲まれ、ドタバタに巻き込まれていく。そして悠斗が訳有りな身の上であることもわかっていき……。BL学園ストーリー。

コーヒーショップでアルバイトをしている和美は、バース性がオメガでありながら、運命の相手と番うことを避けていた。しかしある雨の日にアルファ性のヤクザの幹部・荒城と出会う。荒城は和美を運命の相手と確信し、ホテルに連れこみ欲望のまま抱き潰す。それから和美は荒城のオメガとして、ヤクザに守られるようになる。和美本人は納得できていないまま事態は動き、大人たちの思惑に翻弄されていく……。オメガバースBL物語。

橙に焼けた空に、満開の花を咲かす桜と力強い題字。どこか元気をもらえるような風景画。

赤い糸で結ばれた少年少女は、灯り片手に海を裸足で駆け出していく。物語の予感がするイラスト。