問瀬定花は都内の私立大学に通う平凡な大学二年生であり、同じ大学に通う、六川支眼とは高校時代からの友人だ。金髪に軟骨ピアスの開いている彼はミステリ研究会に所属しており、トリック100本考案合宿に行くほどのミステリ好きであった。日々刺激的な事件を求めている支眼はある日、定花を夜ご飯に誘う。訪れた先のご飯屋さんでなんと、隣のテーブルで事件が起こり――。今どきボーイと平凡大学生によるライトミステリー。

第一志望の大学に無事合格し、新生活を楽しむ大学一年生の桜庭ひかりは同じ学部の瑞姫、風花、由芽と仲良くなった。ある日、三人から同級生の橘御影の奇妙な噂を聞く。それは御影に近付くと“呪われる”という噂だった。テーマパークに行く予定のあったひかりは、御影にやめたほうがいいと止められる。すると、ひかりが行く予定だった日にパークでは事故が起こり――。正反対の二人が、不可解な出来事を解決していく青春ミステリー。

7歳の頃に、火事で唯一の家族だった母と家を無くした杉崎要は、炎の中に消えていく少年の霊に会う。それから13年後。現在借りているアパートの近くで火事があり、当時と同じように火の中に消えて行こうとする幽霊に出会う。その幽霊によれば、自分の家の火事と弟を殺した犯人につながりがあると告げられて――。やたらと明るいイケメン幽霊と、非力で平凡なフリーターが協力して十三年前の事件の犯人を追うドタバタミステリー。

神保町の出版社街とは離れた場所にある古びたビルの出版社に勤めるオカルト雑誌の編集者・湖南はある日、日理大助教授の眞木のもとに行くことになる。するとそこで、眞木に湖南は幽霊が見えるという奇妙な薬を渡される。半信半疑で飲んだ湖南は、大学で自殺をした一太と出会う。データ改ざんに手を染めたという過去がある一太だが幽霊になってまで自殺を繰り返しているようで――。トンデモ科学者×オカルト編集者による探偵物語。

長崎県の梅島に住み、美容師の母親と暮らす水取千沙は大の「怖がり屋さん」だ。ある日、進学を希望していた島の高校が廃校になり、やむを得ず長崎市内の高校へ進学することになる。叔母である樹里が切り盛りする美容室の2階に下宿するが、叔母は美容師以外に、失くしたものを探す「失せもの探偵」という仕事もしていた。脱走したペット探しなど、叔母のアシスタントとして懸命に働く千沙だったが――。坂の街で繰り広げられる青春探偵ストーリー。

町外れで占いを経営している自由と言う言葉をはき違えている魔術師の青乃赤の元で、弟子としてこき使われている空蘭。いつものように学校に行くために電車を待っているとあたかも偶然の装いで師匠の赤がおり、学校帰りに店に寄れと言われる。渋々承諾した空蘭は、ランチタイムに魔術師見習いの先輩である美海に声を掛けられる。空蘭はそこで美海から奇妙で物騒な事件について聞くが――。魔術師と見習いによる現代ファンタジー。

小動物が大好きな女性・秋野千代は亡くなった祖母の書道教室を営むかたわら、漫画家を目指している。しかしボツが続いて中々芽が出ず苦戦していた。いなり寿司と引き換えにとお稲荷さんの掃除を頼まれた千代は神社へと向かう。そこで、自分の供え物を盗み食いする狐耳少年と一匹を発見し、追いかけた千代が足を踏み入れたのは、宵闇町と呼ばれる場所で――⁉ 千代は元の世界へ戻ることができるのか。一風変わったファンタジー物語。

猫のシロを飼っているおれは去年の春に出版社の文学賞を受賞した新人作家だ。しかし企画書を作成してもボツになることが続き才能がないかもしれないと悩んでいた。ある日、家出したシロを追いかけてたどり着いたのは豪徳寺というお寺だった。そこにはシロだけでなく、大勢の猫がいた。すると、親分猫の花子から最近頻発している猫毒殺事件の犯人を見つけて欲しいと頼まれ――。売れない作家と猫たちの織りなす奇妙で不思議な物語。

半妖で女官の鼬風はある夜、見回りをしていた後宮で妖狐の仔空と知り合う。すると翌日、人の姿で鼬風の前に現れた仔空は、自分の正体を明かし従者になってくれと伝えてきた。その場では断った鼬風だったが、仔空が呪いをかけられ妖狐になったと知り、期限付きの従者になることを承諾する。仔空にかけられた呪いを解くために奔走する鼬風は、その過程で隠されたある秘密を知るのだが……。少々お調子者で終始マイペースな半妖女官と、そんな年下従者に振り回される主によるライトミステリー。

井本真帆は仕事を辞めて、幼馴染みの翔太郎が始めた探偵事務所を手伝う事になった。乗り気でない素振りを見せている真帆だが、本当は翔太郎のことが好きなので俄然やる気に満ちている。二人のコンビネーションの良さのおかげか、徐々に仕事が増え始めて軌道に乗ってきた頃､思わぬ大事件に捲き込まれてしまい――。素直ではない真帆が翔太郎に気持ちを伝えることができる日は訪れるのか。幼馴染によるラブストーリー。

とある繁華街の一室に創業約四半世紀の自然豊かで、カフェやデザイン会社のような風貌の探偵事務所がある。そこへ突然、一人の青年・渡貫が訪れる。渡貫は意図せず不倫相手になってしまい、さらに相手の息子に関係を迫られてしまう。腹に一物を持つ探偵事務所の所長田上と縁の下の力持ち事務兼補佐の松田の二人は、渡貫の抱える問題を解決に導こうと奔走するが――。探偵事務所を舞台とした人間模様が描かれたヒューマンストーリー。

四つ子の三男・つぐみが働くのは、常夜高校のあの世とこの世の境目が曖昧になる夜に開く相談室・通称「夜もすがら相談室」だった。「夜に捕まってしまった友達を連れ戻したい」、「絵画の少女を笑わせたい」など摩訶不思議な悩みを解決するべく、兄のひたきらを巻き込み奔走するつぐみ。しかしその傍ら、つぐみは兄に対する感情が兄弟愛であるのか恋愛感情であるのか分からず悩んでいて――。ちょっと不思議なあやかしファンタジー。