怨霊や祟りの神が跋扈する九魔盆地には、神や精霊、怨霊といった人ならざる魔の者たちと取り引きし、魔に関する問題事を取り扱う“逢魔師”が太古より住み着いていた。千年の歴史を持つ逢魔師史上初めて、女の身でありながら逢魔師となった18歳の櫛笥結人はある時異界に迷い込み、人間を酷く憎む鬼と出会う。とある理由から二人は互いの生命力や運命を共有し、力を増幅させる古の逢魔師の契約術・賓の契約を結び――。男装の女逢魔師と愛を知らぬ孤独な鬼による和風恋々奇譚。

ラスガルド大陸の東に位置する島国・東方神州。その中枢たる京の都に帝の第二皇子が誕生した。天津神の祝福を受け、白髪白群の呪眼を持って生まれた彼は神子と呼ばれたが、後に自身の持つ力故に人々から恐れられ、疎まれ、都から遠く離れた澄峨の地へと追いやられる事になる。しかし彼が嘆く事はなかった。彼の傍にはいつも大切な人――石華の鬼姫が寄り添ってくれていたのだから……。異能の皇子と、鬼の少女が織り成す和風ファンタジー。

夜、妹にパシられてコンビニでアイスを買った帰り。花梨は、妖魔討伐中の火宮勇悟と出会う。彼は日光地区の火の神を守る氏人の当主で、一目おかれる存在だった。彼に押し切られる形で、出会ってから二時間後になぜか花梨は彼と結婚することになっていた。さらに勇悟には小学一年の娘と二歳の息子がいて、花梨は必然的に二人の母親になる。昨日までは両親や妹から虐げられていた花梨だが、一晩にして生活ががらりと変わって――⁈　和風恋愛ストーリー。

突然異界に飛ばされた夏乃は、古めかしい船の上で目覚めた。船に乗っている人々は、着物に似た一風変わった服を着ている。夢ではなく、どうやら本当に異世界に飛ばされてしまったらしかった。そこで夏乃は、生きる為に大昔の日本に似た異界の島で働きはじめることになり、ひょんなことから「魔物」と噂されるお屋敷の主、王弟殿下に仕えることになる。なんとその王弟は、呪詛を受けて黒い犬にされていて――。和風恋愛ファンタジー。

社会人五年目である桧山レイコの趣味はコスプレ。地元のコスプレイベントにレイヤー仲間と一緒に参加した彼女は、転んだ拍子になぜか戦国時代へとタイムスリップしてしまった。そこでレイコは、レイヤー仲間の一人であり、同じマンションに住むイケメンコスプレイヤー・黒鷹に似た美形の侍に拾われる。侍と暮らすうちに彼に惹かれるレイコだが、その一方で黒鷹のことが心に引っかかり――。時代に隔てられたコスプレイヤーの時を超えるラブファンタジー！

花の精である花仙と人間の間に生まれた娘・朱音は、崔国の皇太子・龍仁に仕えている。花仙が胸の奥に抱く、伴侶に渡す“玉”を龍仁に奪われたせいで、朱音は彼の命令に逆らえなくなってしまったのだ。日々龍仁のいじわるに耐えていた朱音は、龍仁が皇帝位を継いだ際に、妃候補の情報を探るために後宮に乗り込む。だが、後宮に渦巻く陰の気を感知した朱音は、龍仁と共に後宮の女性達をめぐる陰謀に巻き込まれることになり――。中華風恋愛ファンタジー。

犯した罪の償いのために地上へと送られたかぐや姫は、人の世で子を身籠って月へと戻る。その子どもである千古は、母を育てた翁媼の元で慈しまれながら育った。周囲から影で「稀代の悪女の娘」と囁かれ、息苦しさを感じる日々の中、千古を宮中へ参内させるようにとの文が帝から翁の元へ届く。翁媼の元を離れ慣れない宮中で過ごしながら、千古は貴族の事情や、神々の諍いにまで巻き込まれていき――。架空の平安を舞台に紡がれる和風恋愛ファンタジー。

四歳の頃に実家である神社の主神に人間の基本的な欲を“食われ”、唯一残った造形する欲求のみを持つ遠野幸紘は、死んでないから生きてるだけという諦観の元に日々暮らしていた。しかし、四年に一度の厄除大祭に際し、実家の神社に所属する神様が彼の元にやってきたことで、幸紘の日常に非日常が割込みはじめる。神様の美しさに焦がれその姿を形に留めたいと望んだことから、幸紘は失ったはずの生きるための欲を取り戻し始め――。和風BL奇談。

神々がアシハラに派遣されてから数十年。派遣された神々と人間は協力し合い、絆を深めていた。しかし、アシハラの情勢が安定してきたのを見た天の神々の長・テルヒが自分の孫にそこを治めさせようとする。アシハラに派遣されていた神々はそれに反対し、互いに対立を深めていく。そんな中、アシハラの神として長のワカヒコを支えてきた水の神ミクマリの元に、幼い頃から密かに想っていた雷の神・ミカヅチが交渉のための使者として現れ――。和風BL。

鬼無国からヴィルドール王国へ嫁いできた春子は、故郷で国一と言われた美貌の持ち主。しかし夫となる男から、不細工だと罵声を浴びせられる。海を越えた国では春子の美貌も醜女に映るのだ。更に夫は、春子を亡くなったことにして、自分の兄へと押し付けることにする。誰もが春子に同情する状況だが、強かで強情な当の本人はこれで乱暴な夫と政治から離れられ、目的を達成できると喜び――。じゃじゃ馬姫による洋風×和風のラブファンタジー。

“大井や”という田舎の薬屋に生まれたシロネは、継母によって蔵の中に追いやられ、虐げられて暮らしていた。そんなある日、彼は城主御用達の薬種商・南天健寿堂に父からの命を受けて嫁ぐことになる。南天健寿堂の若旦那である文兵衛は外面のよい褐色の美丈夫であるが、内面は性悪の男だった。南天健寿堂の若旦那という肩書がなければ、こんな男と誰も結婚なんかしない、と思う白根だったが――。美形ツンケン攻めｘ不憫受けの和風BLファンタジー。

時は大正、西洋化が著しく進んだ時代。夜の暗がりはなくなり、整備された道は人工の灯が灯り人々の営みを照らしていた。明治以前の旧文化を疎ましく思う政府は軍による取り締まりを強化する。それは闇に紛れてきた人ならざるモノ――物怪も対象であった。そんな中、真っ昼間から布団に包まり怠惰を貪る一人の青年・稲生徹平の元を、自身を“魔王”と名乗る武士が訪れて――。魔王と自堕落青年の凸凹主従が織りなす大正物怪怪奇譚。

舞台は室町時代。申楽の役者の子として生まれた鬼夜叉は、ある日、美しい鬼の少女との出会いがきっかけで、自分の舞いに荒ぶった魂を鎮める力があることを知った。時は流れ、鬼夜叉たち一座は新熊野神社で申楽を演じる機会を得る。一座とともに都に渡った鬼夜叉は、そこで室町幕府三代将軍・足利義満と出会った。一座のため、申楽のため、鬼夜叉は義満についた怨霊を調査することになり――。室町時代を舞台としたブロマンス×和風歴史ファンタジー！