月だけが見ていた
古い傷跡を大きくえぐって捨て去るように、私にあなたの傷をつけて。 心に傷を負い、居場所をなくして夜の街をさまよう少女、香月。客として出会った男、ギイだけがその声なき心の悲鳴に気づいてくれたが――。 触