学園区 4F:観測植物園
大図書館からのびる果てしない程に長い螺旋階段を登った先。 円形の空間に生い茂る花々。 部屋の中央には天に向かってのびる天体望遠鏡。 過酷なる登り疲労の果てにあるこの場所は自然のユートピアだ。
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16・ 月光【サブ】
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ミドリ「……ふむ、これは面白くなかったか」

吸い付けていた紙コップを右手で引っ張って取り、口元を摩る。どこに紙コップがくっ付いていのかはっきりと分かるように赤く腫れている。

ミドリ「すまないが、人生の経験不足とでも言おうか。こんな時に、なんという言葉を掛けてあげれば良いのか分からないが。

……まあ、お互いに大変だな。人間関係とは正解の無い詰め碁のようなものだ。現に俺もキミがどこの世界で何をして、どんな経験をし、何が好きで、嫌いで、どんな気持ちなのか分からない」

ミドリは右手に持っている紙コップを潰し、ズボンの右ポケットに入れる。
そして、さっ
15・ 天地.S
>>[[14324744]]
 ギョッとしたようにミドリを見たる。

フェイ
「……そうですね」

 一瞬開いた瞳孔が元の大きさに戻ると、ようやく相槌を打つ。真面目な目の意味を取ったのか。
 すると、訥々と口を開き始めた。

フェイ
「……正直な話、私もここに馴れていないんですよ。でも貴方みたいにどっしり構えられるほどでもなくて。
みんな別世界から来たって言うけど、それも私の知らないようなもので……理解出来ないから怖いって言うか。だから壁を作ってしまうと言うか」

 つまり、この世界に適応出来なかった一人というわけだろう。細めた目の尻に自嘲的な笑みを浮かべる。

フェイ
「……駄
14・ 月光【サブ】
>>[[14323297]]

ミドリ「ふっ、しかしながら今さら変人を治す気持ちは無いよ。

慣れない事はするもんじゃない。これが俺の今の結論さ。

これに関しては共感してくれる人が居るんじゃないかと俺は思う。例えばら変人へ敬語を使う人って疲れるのでは、みたいな」


残り少なくなった紅茶を一気に飲み干し、紙コップをどうするのかと思えば息を吸う力で口へと吸い付けて落下しないように維持させ少女の顔をまじまじと見る。

少女を小馬鹿にしているのか、単に変人なのか。
しかし、ミドリの目は至って真面目だ。
13・ 天地.S
>>[[14307257]]
フェイ
「上手いことを言ったつもりか……やっぱり変人ですね貴方」

 出し間違ったんじゃないかというミドリの表情をコップの縁から見ている。中々に失礼な台詞だが、目に軽蔑や侮蔑の色はない。
 その視線をお茶の水面に落とし、またミドリを見、また落としで二回ほどチラ見すると、結果的に視線は落ちて唇を銜え込んだ。何も言わなくなってしまう。
12・ 月光【サブ】
>>[[14301078]]

ミドリ「ふっ、いや悪かった。植物が好きな俺でもあんな遊びで楽しそうにした事はない。楽しそうに遊ぶ様は母性本能では無く、父性本能が開花しそうだったよ。花だけに」


冗談めいた口調で最後の余計な一言を終えると「ふむ」と何かを察したのか、紅茶を一啜りして少女からの質問返答へと切り替えた。


ミドリ「まあ、ここには別に連れられたくて来たわけじゃない。だからこっちも勝手にやらせてもらってる。

慣れたか慣れていないかと聞かれれば、慣れてはいない部類だろう。こんな性格だ、俺の事を友達と呼ぶ人はそう居ないのさ。

……だから、こんな人気の無い場所に居るのか。な
11・ 天地.S
>>[[14292032]]
フェイ
「子供扱いしないで。……下さい」

 ピシャリと言ってブスッと付け加えるが、立ち上がって「どうも」紅茶は受け取る図々しさ。
 一湯気吸う。薄い唇をカップに付けた。口に紅茶が流れ込む。心地良さそうに目を細めるあたり、素朴だろうがなんだろうが些細なことのようだ。

 視線をリュックサックに向ける。パチリと瞼を閉じ、開くとミドリを見る。

フェイ
「……そこまで準備してここに来るんですね。貴方もこの世界に飛ばされたと思うけど、その様子だと、もう生活や勝手には馴れた……感じですか?」
10・ 月光【サブ】
>>[[14290598]]

顎に手を添え、さらに添えた手の肘を支える態勢になり、何度か椅子とフェイを交互に見て数回程瞬きをする。
が、ミドリには瞬間移動の謎は解けなかった!


ミドリ「それじゃ、申し訳ないけれど付き合ってくれ。確かに無邪気に遊ぶ子供みたいなキミを見てると和むというか、可愛いというのやら。

とにかく、楽しそうでなによりだよ」

手を解放し、木製のテーブルの近くへと置いてあった持参してきたであろうリュックサックから銀色に光る水筒と紙コップを二つ取り出し、適量注ぐ。

「本当は美少女と飲む紅茶だからティーカップとちゃんとポットで蒸した紅茶で一休みしたかったんだけど
9・ 天地.S
 振り返ると少女はいなかった>>[[14285664]]

フェイ
「褒めてもなにも要らないから、褒められてもなにも出しません」

 代わりに、ミドリの横足元から声が聞こえてきた。これなんてステルスフィールド。
 少女は花壇の前に屈み込み、水滴を乗せる花をちょんちょん突ついたり指で弾いたりしている。

フェイ
「紅茶……! ん、んんっ……ま、まぁ男一人で飲むのが寂しいなら一緒に飲んでも良いですよ。ビショージョの隣で飲めば、なおさら美味しく感じるハズです」

 一瞬テンソンの上がった声を、咳払いで元の冷やこいテンソンに抑えた。
8・ 月光【サブ】
>>[[14285227]]

ミドリ「……ほう」


嬉しいのかはたまた冗談がツボにはまったのか。そんな事は少女に分かる訳も無いが、ここで初めてミドリは植物に向かって小さく笑っていた。


ミドリ「……キミ、なかなか言うね! いや参った、俺の負けだよ。

いや、失礼。褒め言葉大会にするつもりはないけれど、キミこそ校長になるのも面白いさ」


空いた手で葉を掴み、ジョウロに残った少ない水を使い切る。
空になったジョウロをその場へと置き、少女の方へと向くとミドリは更に付けたした。


ミドリ「結局のところ、植物が何を考えているかなんてわからない。だから、お節介だと思われてるかもしれな
7・ 天地.S
 ミドリのおかげで湛々とした土や光沢(つや)やかな葉緑、風流ある花弁を目に反射させながら黙って聞いていた。>>[[14284786]]

フェイ
「いえ……確かに長かったけど、退屈な話って訳じゃなかったです。なんなら次期校長でも考えたらどうです」

 冗談混じりに軽く首を振る。謝られる理由はないと。
 しばらくは何も言わずにまたミドリの背中をじっと見ているが、やがて腰を浮かせてポツポツと口を開きだす。

フェイ
「……そうですね。花にしてみれば、私達のために咲いているつもりはないし。それこそ“咲き誇る”って、自分の為にベストを尽くしているだけ、と言うますか。
 ……でもま、貴方が
6・ 月光【サブ】
>>[[14283993]]


少女が座るのを確認するとさっきまで持っていたジョウロを再び片手に取り、もう片方余した手で爪を立ててジョウロを叩く。

ミドリ「ああ、その質問ね。単に花へ水をあげてた。ここの花々や植物は罪深いから。

何故かって言うと、ここへ来てからこの場所に俺以外で人という人を見たことが無い。まあ、たまたま遭遇してないだけなのかもしれないが。

そんな場所にだよ。誰も見られそうにも無いのにこいつらは優雅に花を咲かせる。なんて滑稽な奴らだと思わないか」

話を一度途切るように二人からは少し距離のある丸い木製のテーブルへとミドリは向かい、2リットルサイズのペットボトル
5・ 天地.S
>>[[14279187]]
フェイ
「ど……どうも」

 口の中でモゴモゴと感謝のようなものを言っているようだが、聞き取りづらい。
 その気遣いに腰を掛ける。

 ルナティカ学園の制服に身を包み少女。スカートだからだろう、脚は内股気味にし、ひらひらした裾を引っ張っている。

フェイ
「……それで? 改めて聞きますけど、こんなところで何をしていたのですか?」

 太腿の上で静かなる戦いを繰り広げながら、小首を煽って先と同じ質問を投げた。
4・ 月光【サブ】
>>[[14278864]]

ミドリ「俺の他にも魔法陣を見たのを最後に気付けばここに居たとの証言。

学園の至る所にある月。まだ来てから間も無いが、分かっている事は……」


その瞬間、少女に声を掛けられたミドリはピタリと固まる。

丁度良いタイミングで花々にあげていたジョウロの水は無くなり、数粒の水滴がちょろりちょろりと流れ、遂にジョウロから水が出なくなるとミドリはゆっくりと少女の方へと振り向いた。


ミドリ「ようこそ。楽園の中の楽園へ……ちょっと中二臭いな」

空咳。


ミドリ「改めて挨拶。こんにちは。はるばる遠くからわざわざこんなひと気の無くて人気の無い場所へようこそ
3・ 天地.S
 ルナティカに来て数ヶ月。生活には未だ馴れず、ルームメイトとも馬が合わない。
 だから、誰も居なさそうな場所を探して、少し息抜きをしようと思って、そのひとときだけの為に、やたら無駄に長い螺旋階段を登った──のに >>[[14278026]]

フェイ
「あたしの苦労は水ぶくね……」

 前髪の長い茶色のショーットカット。浅いブルーの大きな目。すっきりと高い鼻。
 この場に訪れた一人の少女はすぐ溜め息を吐く。少し距離のあるミドリの背中を確認した後に。

 少しの間、その場で逡巡と立ち止まっていた。しかし、やがてまた溜め息をひとつ吐くと、やっくりとミドリの方へと向かってきた。ついでに
2・ 月光【サブ】

ミドリ「全てにおいて物事とは何かしら根がある。そう、種を蒔いて花が咲くように。

だが、種を蒔くだけでは物事は成り立たない。しかし、ルナティカには現在でも無差別に召喚されている、つまり種に水を与え続けられているということ、か……」


花々の香り漂う幻想的な自然の空間。
そこに芽吹ミドリは居た。
右手にはプラスチック製のジョウロを持ち、左手は顎に添えて誰にいうわけでもなく呟いていた。


【絡みフリーです!】

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