西部:武蔵宮神社
街から少し離れた所にある扶桑庭園の中にひっそりと佇む神社。 扶桑国との友好の証として、扶桑国の神社と同じ、退魔の効果がある木材を使用して作られた神社。この国に住んでいる扶桑の人や、その他の人々が参拝
15PV645コメ

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書き込み 634件

645・ カイージ
>>[[18559303]]

「まっ、そりゃこんな地味男には興味ないわな。ロミオと一文字違いの紙一重、なんつって」

 相手の自分に対する冷たさ=興味がないと至極当たり前な結論に到達し、もう相手とは会わないだろうなー、と思いながら箒を脇に挟む。
 どうやら相手が去るのを見送った後に自分も帰ることにしたらしい。
644・ 天地
>>[[18558926]]

 足を止め、首を捻って振り向く顔は変わらない。

「あっそ」

 わざわざ目を見て言うと、また彼女は前を向いて歩き出した。ひどく冷たい。
643・ カイージ
>>[[18558483]]

 なんてことはない。いつも通り。
 少し話せた(?)からと言ってなにが変わるわけでもない。

「……」

 ただ、本音というものを曝け出したのは初めてだった。ひどい言葉でひどい内容だったが、きっとそれは相手が相手だったから言えたのだろう。
 だから……少年は口を開いた。

「九重 惟。ココノエ オモウが、俺の名前だ。別に覚えなくてもいい。なんとなく言っただけだ」

 はっきり、自分の名前を相手の耳に届かせるため。
642・ 天地
>>[[18558248]]

「あっそ」

 距離を取られたことになんかを思った様子もなく、それだけ口にすると女子は彼に背を向ける。
 神社の階段に向かって足を動かしはじめた彼女の横顔はいたって仏頂面。
641・ カイージ
>>[[18549906]]

「そうだな、ユートーセーだからな。終らせ度機もわかっている。どうせ誰も俺の成果なんか気にしてないしな」

 相手が近づいて来た分、何故か離れる。
 無意識のうちなのかどうかは定かではないが、自然すぎる動きのため。やはり無意識下による行動なのだろう。
 どんだけ人間苦手なんだろうか。
640・ 天地
>>[[18549836]]

「現実見せてあげただけでしょ。感謝したいならしても良いけど」

 ごみ袋と持ってきた掃除用具を手にし、未だに掃除を続ける彼の側に寄ってきた。

「……で、まだ続けますかユートーセー様は」
639・ カイージ
>>[[18549733]]

「お前のせいで俺の中にあった世の中の女子像がどんどんクレーン車にぶっ壊されてくんだけど?」

 モテナイ、ハナサナイ、カカワラナイ。
 非モテ三原則を抱えているこいつにとって女子は自分の抱く理想イコールなため、相手と関わったことによりどんどん壊されていくのだ。
638・ 天地
>>[[18549166]]

「べつに。どーでもいい」

 興味がなさそうに吐き捨てて、ブッサイクにした顔は崩さない。いや、崩したものに崩さないも何もないのか。……まあいい。
 やや。溜め息を吐いて野暮いスカートを払いながら立ち上がる表情は、先までの通り仏頂面を引っ提げている。
637・ カイージ
>>[[18537834]]

「……やめとけよ。可愛くない平均的なお顔が台無しだぞ」

 決して相手を褒めようとはしないまでも、女子が自分からそのような顔をするのは男として見過ごせない。
 少しばかりの慰めと戒めを込めながら呟いた。
636・ 天地
>>[[18537723]]

「……──」

 何か呟いたように聞こえるが、その小さくした声と一際大きい無駄な音と重なってよくは聞こえない。

「それもそうね」

 ここに来て追従するかのような言葉、はブスくれた表情と共に。
635・ カイージ
>>[[18536702]]

「価値がなくてもやるのが人間。俺もまだ人間ってことだよ。お前でもいいから認知されたい、とでも思ってるのかもな。現に認知はされてるしな……いや、まあ、認知っつーか、ボールのない会話のキャッチボールしてるだけだが」

 話す気は無い。話す必要はない。なんてことを言っておきながら未だに会話を続けているのだから相当に人との会話を渇望しているのだろう。
 会話することで、自分がここにいるのだと確認したいのかもしれない。
634・ 天地
>>[[18536517]]

「そこまでして認知して欲しいほどの価値があるものかしら。……まあ好きにすればいいけど、」

 一度、金属音が止まる。

「少なくとも、」

 またカチッ、カチッ、カチッ。

「こんな場所じゃあ認知もクソもないでしょ。あたしもあんたなんかに認知される為に優等生する気もないわ」
633・ カイージ
>>[[18535822]]

「時間を無駄にして他人に認知してもらう。ここにいて良いんだよって。認めてもらうために時間を無駄にしても無駄なことをやる。ま、それが今の現実」

 トングの音が耳に入る。
 夢は語らず、愚痴語る。
 全てに対して否定から入る。肯定からはいる。少年すら、人生に暇を持て余しているから清掃作業をしているのかもしれない。
632・ 天地
>>[[18535739]]

「……つまり、あんたの言う“優等生”は時間を無駄にしているだけだと思うけど」

 暇をもて余した彼女はトングを手に取って意味もなく閉じたり開いたりし始める。
 カチッ、カチッ、カチッ。意味のない金属音。
631・ カイージ
>>[[18509711]]

「勉強と同じことだ。学生達がやっているのは厳密に言えば『勉強』じゃない。与えられた課題を過ごすだけの『作業』だ。何一つ身に付いちゃいない。それと同じことを俺はしてるんだ。見方によっちゃ優等生」

 耳栓、という相手のセリフに対しては文字通り耳に栓をして聞き逃す。
 しかし、次の相手の問いに対しては返事をした。ここまでのセリフで少年がどんなに捻くれの自己中心的な考えをしているかわかるだろう。少年自身わかっている。
 だけど少年は箒を止めない。
630・ 天地
>>[[18486280]]

「仰々しい耳栓持ってる奴が何言ってんだか。……まだするつもりなの、砂を舞いあげる作業」

 箒に視線を落として言う。元々ゴミの少ない場所だから言っていることは強ち間違ってはいないのだが。
629・ カイージ
>>[[18157564]]

 そのセリフを聞くと、少年は何かを諦めたように口を閉じる。が、閉じる理由を言わないのも酷だろうと考えた。

「ならもう話すことはないな。それはもうどうしようもない主観的な問題だ。例えばAのことが大嫌いな相手に何を言ってもAを好きにさせるなんてできないように。例えば、もう既に決まっている物事に変革を加えようとしても誰も付いて来たりはしない。何故なら『聞く耳』を最初から持ち合わせてないからな。嗚呼、悲しきかな人の主観。感情さえなくなれば皆平等なのに」

 なんてことはない。
 自分の勝手な意見で、もう相手と話してもなんの進歩もしないと思っただけだ。
 
628・ 天地
>>[[18116504]]

「他人の都合なんてどうでもいいわよ」

 つまり、やめてくれない。
 視線を感じたのか、ゆっくり瞼を閉じ、もう一度開くと目だけで彼を振り向いていた。
 何を訴えさんとしているかは薄々気付いているよう。「だからなに」と言いたげに肩を上げる。
627・ カイージ
>>[[18105897]]

「甘い物を飲食する=子供=童貞ってやめてくられない?」

 まったく感情の起伏を感じられない相手に対して、ジト目になりながら言葉を並べて行く。
 このジト目は果たして、相手の女子力に対するものなのか、或いは人と接しているのに感情を感じられないことに対してなのか。
626・ 森川天地
>>[[18105760]]

「おっさんも童貞なんじゃない」

 しかし、その我慢をぶっ殺す勢いで吐き捨てる。少年に対してこちらは起きる感情など無さそうで、どうでも良さそうだ。
625・ カイージ
>>[[18105597]]

「バンホーテンのおっさんをバカにするか、この野郎」

 どうやら少年にとってココアは敬愛すべき飲み物らしい。
 自分を貶すのはいいが、ココアを貶すのは許されない。額に青筋を立てるも、ここでキレたらそれこそ子供っぽい。
 少年は自分を制し、それ以上は言葉を出さないようにした。
624・ 森川天地
>>[[18105447]]

「要らない」

 即答。それどころかさらに顔を顰める。吐きそうな。

「そんな……甘ったるいものよく飲めるわね。流石童貞、舌も童貞か」
623・ カイージ
>>[[18102074]]

 さっき……とは。
 先程から少年が発していた言葉は少女には聞こえていなかったらしいし、さっきっていつだろうと少年は顎に手を添えながら考え、

「……ホットココア奢ってやろうか」

 無難なとこの台詞を言った。
622・ 森川天地
>>[[18098775]]

 その右手にシンプルなデザインの絆創膏が貼られると、また、さっきと同じ植垣に腰を下ろした。やっぱりつまらなさそうに明後日の方向を見ている。
 それにしても、そんな彼女が擦り剥いてまでゴミ煙草を拾おうとしたのはただの真面目なのか。

「……で、」

 少年を見向きもせず。

「さっき何を言ってたの」
621・ カイージ
>>[[18097213]]

「ぐっふぅ……」

 流石に自分でも臭過ぎる台詞だという自覚があったのだろう。少女に率直な言葉のナイフを刺しこまれ、傷付く。
 が、いつの間にか自分を傷付けた相手は水道に向かっていた。
 絆創膏は渡せたらしい。その事実だけあればいいや、と少年は納得し一度頷いた。
620・ 森川天地
>>[[18096884]]

「キモい」

 バッサリ切り捨てる。

「……」

 しかし、言葉とは裏腹に受け取る。ごみ袋にゴミを放り込んで、境内の隅の水道へ向かい、その細い手を流水に掛けた。
619・ カイージ
>>[[18096288]]

「紳士の営み的なやつ」

 相手の不機嫌な態度には慣れたらしく、受け流すように一言を告げた。
 紳士(笑)の行動に満足したらしい。慣れていない笑顔を数秒浮かばせ、相手の顔を見た。
618・ 森川天地
>>[[18096161]]

「……」

 手中の優しさの形をまじまじと見詰め、ただでさえも表情が不味い彼女の眉間の皺が深くなる。それは気に触ったのか、または別の理由か。

「……何してんのよ」
617・ カイージ
>>[[18095906]]

「……自分は大切にしろよ」

 小さな、相手には聞こえない声で呟く。
 と、なにやら自分のポケットをゴソゴソまさぐりながら相手に近付き、なにかを掴んだ手を相手に突き出した。

「ここに暇を持て余してるどうでもいい男がいるんだから、そういう仕事は俺に言えよ」

 少年はぶっきらぼうに、次はきちんと相手の耳に伝わるように言って手を開く。
 手のひらの上には、無印の絆創膏が何枚か乗っていた。
616・ 森川天地
>>[[18095707]]

「何をゴチャゴチャ……」

 息の詰まった声で聞こえてくる。ややあって上体を起こし、立ち上がると、その右手は擦れ切れたりしていて、人差し指と中指には煙草が一本挟まっている。

「言ってんのよ。言いたいことがあるんならハッキリ言え」

 彼に、やはり不機嫌そうな面で振り返って呆れた声音を作った。

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