四百字作文 20
お題から連想される事を400字以内に纏め、SSを作成して下さい。 お題 『荒ぶる風』
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14・ クラブハウス
 遂にその日はやって来てしまった!
 人間の止まることの知らない発展とそれに伴う増長が、創造主たる神の怒りに触れてしまったのだ!
 そして、地獄の門は開かれて、世界は炎に包まれた! 震える大地に、止まぬ熱風! 落雷は途切れることがない! しかし、核戦争の最中だった人類に、その程度の天災は問題なかった! 全て! 核シェルターの前では無力だったのである!
 しかしこれでは終わらない! 死者たちが一斉に蘇ったのだ!
「おじいちゃん! おかえり~」
「ただいま~」
 けれど最早、人類はその程度では驚かないのである! むしろ! 核戦争で死んだ人々が蘇って喜ぶ始末!
 そして、核戦争の時よりもずっとマシに
13・ 望月おと

ゾワッと全身の毛穴が開く。それに合わせるように、目も口も。初めて目の当たりにし、絶望やら恐怖やら……。色んな感情がグルグルと大きな渦を巻く。


「逃げなきゃ……!!」


周りにいた誰かの声に導かれるように、足を夢中で走らせる。どこへ行けばいいかは分からない。ただ、迫り来るアレから逃げるしかない。

街中に響く、悲鳴や何かが割れる音。まさに【この世が終わる】そんな状況だ。道路には無造作に乗り捨てられた車の群れ。


「はぁ……はぁ……」


息が上がる。苦しい。日頃の運動不足が祟り、足も悲鳴を上げる。しかし、それでも走らなければいけない。


「……はぁ……はぁ……」


ガシャガシャ……
12・ 恢影 空論
「人間はね、そろそろ僕ら自身の絶滅をプロデュースしなくちゃいけないんだよ」

にこやかに笑って、彼は片手を上げてスイッチを押した。



荒ぶる風が運ぶ湿気で、一七七六フィートもあるこのビルの鉄骨も血のように赤く錆びている。

ワン・ワールド・トレード・センタービル。かつて旅客機が突っ込んで、世界を変えてしまったグラウンド・ゼロ。そこに再建されたこのビルは、人類が滅んだ現在もその残骸を睥睨している。

窓ガラスの無くなったビルの淵に座って、水を飲む。マンハッタンはいつまでも静かだ。

あの時、彼が世界に拡散したモノの正体を、私はまだ正確には知らない。一種のウイルスだとか、ミームそのものだとか。
11・ ルイジアナ!
さて、どこまで話したか。ああ、そうだ。あのα・ケンタウリ星人のーー捻りの無い名前だーー光の暴風が、街や路を砕いた辺りか。 わたしは逃げるのに必死でね。光線に身を焼かれる人々を眺めてしまってさ。必死に走って、逃げ、あの最後の抜け道を前にした時は、まるでウェルギリウスに出会った様だったね。まだ終わらないという意味でさ。気分は最高ーーだって、ある仏教の教えには、転生を繰り返す世界を最後に滅ぼすのは風の御業だそうじゃないか。となると、今は滅亡の真っ最中というわけだ。わたしは歓喜したね。こんな結末に佇む人類の一人に選ばれて。もったいない経験だ。
ーーでは行こうか。死んだ世界へ。
あの燃え盛る丘の向こうに
10・ クラブハウス
 真昼の空へ、人間をデータ化して送信する。
 それは電磁波として太陽に干渉し、記憶される。それは、いつの日かフレアとなって、太陽風として地球へと帰ってくる筈だ。そして、帰って来た太陽風の波形をこのパラボラアンテナが受信して、人間を再構築する。 

 今の僕の――ひいて言えば、人類の――科学力ではその実験の成功率は五分といったところだったけれども、成功でも失敗でも、科学の大きな前進が確信された。フロンティアへの展望が、そこにはあった。

 しかし、実験は反対された。倫理や宗教の邪魔建てがあったのだ。
 何故理解されないのだ。何故価値が分からないのか。
 僕は愚鈍な人々を憎んだ。

 激しい怒りを
7・ 擬天傘
「……」

ねえ、という私の声は豆電球が照らす薄暗やみに吸われた。

「寒いんだけど」
「……」

無言。代わりに、雄弁な風音が足下から聴こえる。

暑くなってきて、クーラー付けっぱなしは体に悪いと思ったから扇風機を買ったのに。

隣でリモコンを持ってる奴が、暑がって『強』にばかりする。奮発して『そよ風』ができるのを買ったのに。

冬用の布団はしまっちゃったから、今の私には夏用布団しかないんだコノヤロウ、と毒づくと、それは俺も同じだ、なんて言いやがる。

布団の中で体を縮めても、この荒ぶる風の前では意味がない。

無理無理。

暑がりの布団を奪ってやる。それでも足りないから、

「ちょっと、」
6・ クラブハウス
地下鉄の改札を出て、階段を上る。
人が3人程度並んで狭いと感じるほどの幅の階段だ。照明は少なく、薄暗い。
電車の移動に合わせて、背中に風が吹き付ける。進め、進めと急かしてくる。
階段は折り返し。見上げると疎らに進む人々の向こうに地上が明るい白で見えた。
轟、吹き上がる風に目の前を行く女子高生のスカートが持ち上がる。彼女は慌てて抑えるも虚しく、捲れ上がった。

ああ、なんて白い。
彼女は振り向く。顔は紅潮。目は少し潤んでいる。
唇を噛むと、再び前を向いて、階段を駆け上がり、白い光の中へと消えて行ったのだった。

「やったぜ……」

そう呟いた自分の声が、階下からせり上がってきた電車の走行音に掻き
5・ ANGELUS
突如、蒼く澄んだ空は漆黒の闇に包まれた。
その漆黒は雲ではない、純粋に、青い空が黒く染め上げられたのだ。
範囲は見渡す限り、全て。
鳥肌が立つような異様な空気が、全地上に降り立ち、空を飛ぶ鳥や森の動物達は何かに追われるように忌避していき、それらをなぎ払うように、人が感じたらとてもじゃないが心地良いとは到底思えない、生温く、湿った暴風が、木々を打ち倒す勢いで唸らし、漆黒の天空から紫色の不気味な落雷が、際限なく土でできた地上を削る。

「ハハハハハ……ハハハハハ……」

何処からともなく響き渡る笑い声。
その笑いは、この世の全てを未曾有の恐怖に叩き落す程の、薄気味悪い、野太い笑いだった。
そして笑
4・ 透晶
勝ち鬨にも似た男たちの声に足が震えた。眼下には白い波しぶきを絶えず抱えた海が広がり、海岸線には獲物を駆る猛獣のごとく異国の猛者共が山の斜面を駆け上がる姿が見える。あの者達がこの砦にたどり着くのも時間の問題だ。待機中の兵士は皆、怯えながらも辛抱強く時が来るのを待っていた。

「女王はいるのか」

すぐそばで剣を磨いていた兵士が呟いた。砦の兵士は十三歳から十八歳と若い。国の主力は海の上で果てた。中央に戦力はない。この砦とここにいる少年たちが言葉通り最後の砦となる。

「言い伝えどおりにその女王とやらがいるのなら、俺たちは助かるだろうよ」

投げやりな返答をした俺の声を遮るようにすさまじい咆哮が砦を
3・ おうぎ
「私と一緒に、空を目指そう!」

この国で二番目に空に近い場所。
そこで空を眺めていた俺に、彼女は叫んだ。
彼女の言う『空』というのは空兵隊の事だろう。心が通づる、翼を持った生き物に乗って、空で戦う者たちの事。
空を駆けるその姿に憧れる者は多いようだが、正直俺は興味ない。
だけど……

ふと、空の端に現れた大きな雲の塊に目を向ける。
狂った風・ウィザレストが生み出した雲塊。

じいさんに教わった風を読む技を持ってしても、あの雲の動きだけは読むことができない。

あの雲が、あの風が、俺の心も掻き乱す。

「……いいぞ」

気づけば出ていた言葉。
彼女は嬉しそうにガッツポーズを決めると、家出計画を
2・ 時給500円

自慢ではないが、俺は風を読む事に長けている。

といっても中二病とかではなく、空気を読むのと一緒で場の流れに敏感なだけだ。

そんな俺の周りは、いつも荒ぶる風が吹き荒れている。



「おにいちゃーん!朝だよー!」

「○○ちゃん!お姉ちゃんが起こしにきたわよ!」

「○○!良い天気だぞ!一緒に朝練でもどうだ!」

「○○ー。幼なじみが起こしに来たよー」



ブラコン姉妹に、生徒会長、幼なじみは毎朝起こしに来る度に和やかな俺の朝は崩される。

……まあ、こんな日常も悪くはない。

騒がしい声を聞きつつもそんな事を思いながら、俺は窓から見える青空を眺めた。










そんなOPで始

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