THE SANDAI 48
三つのお題を活用し、SSを作成して下さい。 お題はそのまま使わずとも、そこから連想される単語や描写でも結構です。 お題 『奇跡』『歩』『光』
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13・ アゲインスト
 
 前に進む事しか出来なかった。

 恐怖に竦む足で、次の一瞬には隣を歩く同士が消えてなくなっていくなかで。

 前に進む事しかしなかった。

 隣の悲鳴を聞きながら、戦場に於いて自身の身は、ただひたすらに鈍重で、鈍重でしかなかった。

 敵見方問わず一人、また一人と消え去る戦場で、数ばかりの矮小な自分達は進むだけ。目の前にいる敵を倒し、進むだけ。

 光に誘われる虫のように愚直で、或いは妄執で、それが自分達の存在意義であるように。ただ心の片隅で戦場を駆け回る英雄に憧れて――


 辿り着く。

 敵陣の最奥。

 隣にあったのは、笑い合った友ではなく、驚きに染まる敵将の姿。英雄達ですら嫌
12・ おうぎ
『好き……好き……』

だから?

溢れるように紡いでいるだろう儚き言葉も、電子音として聞くと実に味気ない。
それが最近別れた彼女のモノだと尚更だ。

きっと彼女は電話の向こう側で泣いているのだろう。彼女の事だから間違いない。そういう子だった。

打たれ弱い癖にプライドだけは高くて、他人に弱音を吐けない彼女は、未だに俺しか泣きつく先がないようだ。
むしろ俺という逃げ道を見つけてしまったが為に、他の人間と向き合うのを止めてしまったようにも見える。

暗闇の中の唯一の光に縋っているつもりだろうが、他の物から目を閉ざしいるだけの事。俺は奇跡の存在なんかじゃない。

『貴方が、好きなの……』

彼女が
11・ 雨水 朔
>>[[22170989]]
「あるいてくるのはたいへん?」

「うん。ここの洞窟までくるのは大変だけど、ううと話すと吹っ飛んじゃう!」

「ふっとぶ?」

「うん。消えてなくなっちゃうの!」

「ううも、シュリンのえがおをみるとさびしいがふっとぶよ」

「本当?じゃあ、ううも笑おう!そしたらね、もっと良いことが起きる筈だよ。

「いいこと?うれしいやたのしい?」

「それ以上の事が起きるかも!」

にっこりと笑ってみせた珠鈴の顔を真似てみようとするが上手く動かないので、ううは自分の口の両端をもって引っ張ってみせます。
その顔のおかしさに珠鈴は小さく吹き出して笑う。
それを見ればう
10・ 雨水 朔
>>[[22170969]]
シュリン?ナマエ?
また、聞いたことない単語にどう答えればいいかわからず、モヤモヤが体の天辺まで移動してしまい。
思わず、ううっと唸ります。

「うう?ううさんっていうの?」

それが正しい答えかどうかわかりませんでしたが“それ”は頷き返しました。

「ううさん。よろしくね」

珠鈴の発する音はううの体の中心をまたポカポカとさせてくれます。
その日以来、珠鈴は“それ”いや、ううの元へと尋ねてきます。
ううも空腹を感じない時以外も目を覚まして珠鈴を待つことにしました。
ただ待つだけではありません。
珠鈴とお話ししたいという思いから珠鈴が話した音を自分でも
9・ 雨水 朔
>>[[22170941]]
「怪我してない?何所か痛いの?」

けが?いたい?
目の前にいる自分と背丈の変わらない者は“それ”が知らない単語を用いて尋ねます。
“それ”何を尋ねているんだと考えてみますが答えを見つけることは出来ません。
しかし、苦しい感覚の原因がフワフワとしたもの所為だと察し目を隠しながら指差した。

「もしかして、光が嫌いなの?ごめんなさい。すぐ消すから待ってね」

パチーンっとこれまた“それ”が聞いたことのない音が鳴り響きます。
すると、“それ”が今まで見てきた世界へと戻って行きます。さらに時が経てば目に走る苦しいは消えていきます。

「もう、痛くない?」


8・ 雨水 朔
光さすことのない谷底に“それ”は存在していました。
“それ”は空腹が感じた時にだけ、目を覚まし近くあるものを手で掘り食らいつく、例え耳なるような鎖の音や纏う衣が底に広がる水の所為で濡れてしまっても気にする事はなく、まして何故自分がなぜここに閉じ込められているかさえ、考える事もなく死体のように眠り続けていました。
そんな代わり映えのない毎日が繰り替えされ筈でしたがある日空腹が感じる前に目が覚めましてしまいました。
ピチョンピチョンと水がなる音、上から滴る音よりも大きい音を何が鳴らしている。
“それ”ムクリっと体を起し、音のする方を向きました。
いつも、なら何もない空間な筈なのにヒョロヒョロとした
6・ おうぎ
雨が降っていた。

雲は僕に恨みでもあるのだろうか。
凍えるような雨粒を僕の身体に打ち付ける。

恨みがない事くらいわかってる。
ただ世の中は、無意識で無差別に、各々傷付け合う。
きっと僕の存在も、誰かにとっては風であって、雨粒をぶつけて凍えさせる要因なのだろう。

そんな酷い世の中でも、確かに救いは存在した。
僕は大木の幹に身体を預けて雨風を防ぐ。

僕を優しく守る暖かな大木。
このままここにずっといられたら、どんなに素晴らしい事か。

雨風が止んで僕を傷付ける物がなくなっても、木漏れ日が差して世の中が僕を歓迎していても、僕はこの優しい場所を離れたくはなかった。

なかったのに。
水滴が落ち
5・ 矢口明樹
私にとって貴女は太陽だった。

いつも私を照らしてくれた。

でも、いくらそばに近づいた所で私の前には超えられない壁がある。

私が進むだけ貴女も遠くなっていく。いくら歩んで行ってもいつまで変わらない、近づけない。

触れる指も甘い香水も、その不変に抗えない。

奇跡なんて起きる事はない。

「ねぇ、聞いてるの」少し怒ったような低い声。

「聞いてるよこの問題でしょ」考えるのを止めて目の前の問題集に向き合う。

ペンの音と少しの喋り声だけの時間。

二人っきりで居れる特別な空間。

それが終わると話す間もなくに帰ってしまう。

「私もいつか先生になるからね。だから、頑張ってね」光に近づこうと背
4・ 時給500円

光が見えた。

何を言ってるんだと思われるかもしれないが、言葉の通り、暗い道を歩んでいたら頭上に光が現れたのだ。

気がついたらこのよくわからない場所に居たのだが、ここは不思議と居心地が良い。

穏やかな気持ちで歩いていたら、突如光が現れたわけだ。

その光は強く輝いていて、とても眩しい。

眩しすぎて、後ずさってしまうほどの光は、周囲の暗闇を消しながら広がってくる。

慌てて逃げようとしたら、懐かしい音が頭の中に響いた。

聴き馴れた音が、まるで逃げるなと言う様にガンガンと響く。

思わず足を止めた瞬間、俺は光に包まれ意識を失った。




目を開けると、白い天井だった。

身体には沢山の
3・ クラブハウス
千年に一度、冷凍睡眠から目覚める。

約一か月掛けて、人類の遺した叡智と、それを整備するアンドロイドを整備する。叡智の半数が最早ダメになっていて、整備アンドロイドの七割が壊れていた。

それが終わると、自分の体の異常箇所を点検し新たな機械に挿げ替えた。
今回は肺だ。前回は目。その前は腎臓で、さらにその前は左腕。もっと前はなんだったか、考えると途方もなかった。
「ザ・ラストマン」だった俺はいつの間にか「ザ・ラストワン」に変わっていく。

いつから俺は一人なのだろう。いつから周りは人からアンドロイドに変わったのだろう。俺はいつ、変わるのだろう。

知的生命体がここを訪れる奇跡まで、あとどれくらい掛

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