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無何有の郷
鹿雄
2016/6/18 | 更新 2016/8/11
海地川
カイチがわとかカイジがわと呼ばれているが、正式名称は不明。天月山から流れた水によって出来た川。夏に涼むのにぴったりな場所。雨の日以外は浅くて穏やかな流れ。
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40・
カイージ
8/11 3:04
>>[[22474317]]
「私は賛成だけど……他の人達がどうかは皆次第だね」
意気込んでいる友春を、まるで母親のような優しい笑顔で見ている少女。
嗚呼、夏が始まるんだなぁ。
なんて、少年が楽しそうに思いを馳せながら話している言葉を聞いて頭の中で想像する。
うん。面白そうだな、と。
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39・
鹿雄
8/9 21:41
友春
「フッ、この桜庭友春の手に掛かれば夏休みは充実する事間違い無し。女の子の心を鷲掴みさ!」
麻愛の目前で空中をガシッと鷲掴みする右手。
その後ろには生き生きとした表情を浮かべる友春が。
どうやら女の子に期待されている事もあってか、プレッシャーに関しては全く気にしてない模様。
友春
「先ずはお祭りだね。カキ氷はもちろん、花火を見てさ。その後、ここへ来て手持ち花火で花火二回戦目を皆んなで楽しむ……なんてどうかな。女の子の浴衣姿は貴重だから、少しでも長く目に焼き付けておきたいっていう僕の野望なんだけど」
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38・
カイージ
7/28 21:23
>>[[22337097]]
良かった、いつもの桜庭くんに戻った。
なんて、相手の笑顔を見て安堵する。そんな顔でピースをする彼は、まるで子供のように可愛かった。
さっき起こった頬の熱さも、やはり夏の暑さに感化されたものなのだろうなと今一度思う。
「そうだねー、もう今年の私の夏の思い出は桜庭くんに全責任があるといっても過言じゃなくなったからねぇ」
風呂桶を脇に挟みながら、頑張って腕を組、うんうん頷く。
果たして彼女は気付いているのだろうか。友春にプレッシャーをかけていることを。
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37・
鹿雄
7/21 23:49
友春
「ち、千地理サマァ……」
前に曲げていた体を起こすとその目には割とマジな涙がポツリポツリ。その雫を右腕で拭うと、一息吐いてから再び麻愛の方へと歩み寄る。
友春
「千地理さんに慰められるなんて情けないなぁホント……」
だからーー。
友春
「僕、色々と頑張るよ! いやぁー、今年の夏は忙しくて楽しくなりそうでワクワクしてきたね、千地理さん!」
真っ直ぐ見据えた瞳が麻愛にもう大丈夫だと訴える。
情けない自分に少しばかり眉を寄せて悔しそうだが、それでも嬉しさと照れ臭さが圧倒的に上回った笑顔でピースして見せた。
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36・
カイージ
7/21 19:44
>>[[22333337]]
これはいけない。
これはだめだ。
このままだと二人とも自分で自分を破壊し始めてしまう。麻愛はこれまでにない危機的状況だと判断し、相手の行動をなるべく見ないように。しかし、言葉は聞こえ冷静な決断を出来るように呼吸を整える。
「ひ、ひ、ふー」
違う、それはラマーズ法。子供を誕生させるのはまだ早い。
しかし落ち着いたらしい。麻愛は通常状態に戻ると、敬礼している友春の顔を見つめる。
「落ち着こう、一回。私は仲良くなりたいって言われて嬉しかった。何も悪い事されてないから、奢られるのは間違ってるよ」
手を後ろに回し、前屈みになって相手を見上
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35・
鹿雄
7/21 11:38
友春
「な、なんかごめん!! 仲良くなりたいとか言われると冗談でも気持ち悪いよね!! モォ、トモハルクンッタラノンデリカシーナンダカラァ! ぐへぇ!!」
いつも大胆な言動をしているのに。
いつも女の子であんな事やこんな事を考えたりするのに。ベーコンに巻かれたアスパラ料理みたいな自分を戒めたかったのだろうか。
謝った後、日本人なのにカタコトな日本語を発すると右手で拳を作って結構強い力で自分の右腹部を何度も殴った。
友春
「こ、こほん。ゲホッ! さっきの軽率な発言は大変申し訳ございませんでしたあーーッ! カキ氷に加えて、りんご飴も係数分奢るから許していただないでしょうか、千地理サマ!」
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31・
カイージ
7/19 22:33
>>[[22321042]]
どうやら友春に対する反応が麻愛の中でも塩水から限りなく淡水へと変わっていったのだろう。
いや、そもそもが反応しなかったというよりは出来なかったに近いのでいつも通りの麻愛の反応といえばこれであっているのかもしれない。
ただし、いつもより少しばかり頬が熱いのだが。
「あ、暑いよね! 暑いなぁ、暑い熱いのだぁー」
友春の助け舟(?)に乗っかるように熱くなった頬に手で仰いだ生温い風を送り当てる。
いつもとは違う、それこそまるで未確認生命体と初めてあった第一村人のような反応をする友春に毒されたように、麻愛もぎこちない笑顔を浮かべて目を泳がせる。
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30・
鹿雄
7/19 19:58
>>[[22307198]]
友春
「あ、あれ……?」
さっきの様に淡白な対応で受け止めらると思っていたであろう友春は麻愛の予想外な反応に茫然自失する。
もじもじ、ツンツン。
熟し始めてきたほおづきみたいなほっぺた。
目を見開いてハッとした表情になった友春も麻愛ちゃんの様子が明らかにおかしいと気付く。
こんな時、どんな言動をしていれば正解だったのだろう。
解答用紙の存在しない状況をこの男はーー。
友春
「ま…まま、まみむめ、めめ……あっ、ダメだ。
ち、千地理さん、今日はお日柄も良く、何時よりも熱いですよねー!」
だ め で し た。
チラ
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28・
カイージ
7/17 21:20
>>[[22306474]]
だがどうだろう。
友春が学習し、愛想笑いをしたにも関わらず、彼女は前提をちゃぶ台返しする。
「ふぇ……それって……その……」
大胆発言に対する反応がさっきまでと明らかに違う。
少女は左右の人差し指同士をつんつんとつつきながら頬をまた少しばかり紅潮させる。口元をよく見ると、動きは少ないもののブツブツなにか言っているのが確認出来た。
「かのじょ、というか、こいびと……? みたいな。なーんて……ありえないありえない。いつもとおなじでふざけてるんだよ、うん」
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27・
鹿雄
7/17 19:24
せっかく可愛い麻愛ちゃんを見れたというのに、この男はタイミングの悪い時に川で顔を洗い、もう一度見れるチャンスまでも背中を見せた所為で逃す始末。笑止、あはれな男である。
友春
「そうだね、かき氷を奢る約束もしちゃったからね。これを機として、白に負けない位仲良くなっちゃおうかなぁー! なんてね、アハハハ……」
相変わらず馬鹿な少年は大胆な発言をしてからピクリと気付く。これはまたスルーされる奴だと。
恐る恐る首と顔を麻愛の方へ向けてみる。馬鹿は馬鹿でも馬鹿なりに学習したのか、冷たい反応をされる前にほんの少しだけ自重するという事を覚えたらしい。
……とはいえ、悪足掻きにも取れる慣れない愛想笑
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24・
カイージ
7/15 23:23
>>[[22286163]]
いつもとは少し……いや、かなり違う友春の笑顔を目に映す。
それこそ、笑顔自体にはそんなに目に見えた変化があったとは言い難いであろう。
だからその笑顔をみた麻愛の鼓動が早くなって頬が熱くなったのは、きっとこれから始まる夏のせい。
相手の言葉を聞いて、行動を見ている、
だが何故か動けないままに、熱くなった頬をずっと冷めろ冷めろと念じているとやっと静まった。
そして、相手の背中越しに聞こえた声に、相手には見えていないのがわかっていながら大きく頷く。
「仲良くするのなんて当たり前でしょ!勿論桜庭くんもね!」
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23・
鹿雄
7/14 22:22
右目に溢れた涙を手で拭い、笑っていた形跡を残しつつも、友春が魔愛の方へと振り向き直す。決して悪意のあるような笑いではなくて心の底から溢れたような純粋な笑い。
友春
「いやぁ、白が千地理さんともっともーっと仲良くなりたいってよく言う理由が分かったよ」
すっと立ち上がると自分の嬉しそうな表情が川に浮かんでいるのを見つける。その表情を手さじで掬うように水を汲むとそのまま顔を洗い、首を振って水を切るとポロシャツで拭う。
その後、ズボンのポケットへと両手をしまい、最初に現れた草むらの方へと少し歩いてから立ち止まると何故か麻愛の方を向かず、投げかけるように言った。
「こんな事を言うとプレッ
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22・
カイージ
7/14 20:26
>>[[22285197]]
どうしたのだろう。変なこと言っただろうか。などと思考を巡らす事よりも先に少女は行動する。
「桜庭くん?」
自分が桜庭に笑いを与えていようなどとは一片も思っていないらしい。
ただただいきなり180度回転したままこちらに向き直らない男の子の名前を、小首をかしげながら呼ぶのだった。
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21・
鹿雄
7/14 18:20
し ろ の て い し や つ ! ?
麻愛から180度ぐるりと身体の向きを変えて笑いを堪えようと両手で口を抑えるが、ぐふっと吹き出して隠しきれないご様子。
友春
「……き、きっと千地理さんのファッションセンスが最先端を行きすぎてるに違い無い。うん、そう思いたい。思うしかない」
きっと妄想力豊かな友春の脳内では白シャツの麻愛を想像するのは簡単に違い無い。
故に、治りのつかない笑いの所為で未だ振り返られずに居た。
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19・
カイージ
7/3 22:30
>>[[22191574]]
生きている限りライフを減らし続けるのがデュエリストなのだろう。
「雪ちゃんも犬のパジャマ持ってるんだ!」
パジャマ動物園については一切触れずに、動物パジャマ仲間が居たことが余程嬉しかったらしく、一拍すると一段と明るい笑顔をもらす。
「じゃあパジャマはこのままでいいかな、大人っていっても動物パジャマ以外ないから無地のTシャツ着ようとしちゃったし」
それは確かに子供っぽくなくなるだろうが、年頃の女子としてなにか無くしそうなチョイスだったという。
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18・
鹿雄
7/1 21:53
友春
「そ、そうだねぇ……うんうんっ!!」
何度目の涙でしょうか。
またもやギャグをサラッと流され、普通にごもっともな対応は友春にとってこうかはばつぐんだ! というテロップが出ても違和感が無いだろう。
もうライフはゼロよ!
友春
「いやぁ、そのパジャマだと面白い事が起きそうなんだ。たまに白が犬のパジャマを着るから、パジャマの動物園になるかなってね。
……まあ、個人的に千地理さんのそのパジャマ姿が本当に好きだってのも理由なんだけど。まあまあ、千地理さんセレクトに委ねるとするよ。大人っぽい千地理さんも気になるからね」
涙を拭い、またもやペラペラと減らない口が開く。
なんだかんだで麻愛
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17・
カイージ
7/1 20:34
>>[[22175080]]
「コイバナはどうだろ……」
そこについては苦笑い。
ここに住んでいるということは、男女の関係は知り合いの中で形成されていくし、麻愛はそもそも男と見ていない部分があるのだった。
「んー、パジャマは……もう少し大人っぽいのを選んでおきます……」
うさちゃんは好きだけれど、流石に自分の年齢でこのパジャマは駄目だと感じたのだろう。
ちらと自分のパジャマに視線を落とし、トーンも落としながら言う。
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16・
鹿雄
6/29 18:51
友春
「成る程、お泊まり会があったか!」
握り拳を手の平の上で叩く。
その後、何故か悔しそうな面持ちで頭の後ろを右手で掻いてから一言。
友春
「いやぁ、さすがは千地理さんだよ。お泊まりは盲点だった。お風呂上がりのいつもと違った髪型、女の子達から漂う良い香り、そしてドキドキのコイバナ!! やぁーんっ(はあと)」
友春の瞳もキラキラと鈍い輝きを帯びている。
麻愛とは別の意味で。最後辺りで発言したオネエを連想させるような裏声と頬に手を当てる仕草が増して気味悪さを倍増させる。
友春
「あ、お泊まり会は勿論、千地理さんの可愛いそのパジャマ姿がまた見れるんだよね?」
この男は変幻自在と
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15・
カイージ
6/29 16:38
>>[[22161257]]
傷付けてしまったかと少しばかり心配そうに顔を伺うが、どうやら自分で立ち直ってくれたようなのでキュッと口を塞ぐ。
次からはちゃんと聞き取るようにしようと小さな握り拳を作って決意を固めたのだった。
相手が座ったのを見て、どうしようかと悩んだがパジャマで座る訳にも行かないので立ちながら話す。
「桜庭くんもまだまだですなぁ、やっぱりお泊まり会は長期休暇に必須事項です!」
指を振りながら得意気な顔でお泊まり会の提案。最後には前のめりになってまで強調。どうやらそれだけお泊まり会をやりたいらしい。
前のめりになった時には、友春との顔の距離がぐっと
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14・
鹿雄
6/28 16:43
友春
「絶対、空返事だよね、ソレ……」
馬鹿変態の割にそれなりの感受性はあるらしい。
今度は少女の優しさが胸に刺さったのか涙ながらに心臓の辺りを右手で摩る。
そして、ちいさーな声で「千地理さんの前で妄想を言うのは控えようねボク」と言って自分を慰めた。
友春
「ああ、そうそう。白と今年の夏休み計画を既に立て始めているんだ。今の所、水合戦にお祭りに花火、夜の学校訪問とか考えてるんだけど、他に千地理さんのやりたい案があれば聞きたいな」
近くにあった丁度良い大きさの岩を見つけ、腰を下ろす。計画の話をしている間は夜空を眺めたが、最後の問いかけの際に麻愛へと視線を向ける。多分、真面目なニコニコ顔
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13・
カイージ
6/26 20:21
>>[[22146595]]
麻愛
「……? うん、そうだね?」
キョトンとしながら、相手の言葉に適度にテキトーに相槌をうつ。
言っている意味がわからなくても、多分喜んでくれているのだろうというかとが端々から伝わってくる。のと同時に、何故だが少し離れたいという思いが芽生えて、少しばかり後退り。
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12・
鹿雄
6/25 19:40
友春
「何でだろう。凄く微笑ましい会話の筈なのに悪寒がしたのは」
正規通りでは無い歌詞が友春の顔に青筋を引く。
針千本飲まされたりするよりも恐ろしい末路になりそうだからだろうか。
女の子と約束をした嬉しさの反面、後味の悪さが残っているのか、友春は何とも複雑な顔で苦笑いをした。
*
友春
「いやしかし、さっきの地千里さんはいとをかしそのものだったよ。
月明かりの下、せせらぐ川に差し伸ばされた絹の手、そして桃色のコントラスト……そうだね、僕がタイトルを付けるとするなら『夏を知らせに来た兎の妖精』だね」
得意げな表情で話した後は目を閉じ、両腕を組むとうんうん言いながら首を上下に
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10・
カイージ
6/24 21:31
>>[[22139466]]
安上がりという言葉に少々ムッとするもどうやらご多分に漏れず、彼女も本格的な夏が楽しみになったようだ。
握られた小指を確認すると、ニッと白い歯を見せる。
「それじゃあ、いつもシロップをたくさんかけてくれる100円のかき氷をブルーハワイで係数分、一つ買って貰おうかなぁ~」
そんなふうに言えば、間髪入れずに握った手を上下に振ってお約束のセリフ。
「指切りげんまん、嘘ついたら雪ちゃんに言いつける、指切った」
若干相手に脅迫をかけるよう改変されたセリフを言うと、その流れのままに指を解く。
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9・
鹿雄
6/24 19:28
友春
「や、安上がりで助かるなぁ、ホント」
欲の無い少女の優しさが身に染みたのか、涙を流しながらホッと胸を撫で下ろす。
反射的に差し出された少女の小指に目が行くと、数秒の間見つめてから徐々に少女との距離を詰める。
途中でシャツを使って自分の右手を拭う。
近づいていくと、シャンプーとかボディソープの匂いだとか、それだけで片付ける事の出来ない女の子独特の香りが漂う。
月明かり、パジャマ、良い香り……。
何だか、色っぽい条件が揃っているのはきっと気のせいだ。
友春
「モチのロンだよ。お祭りで地千里さんの浴衣姿が見れるなら係数分奢ってもお釣りが来るくらいさ!
え、ええと、それじゃあ約束のゆび
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8・
カイージ
6/24 16:28
>>[[22124086]]
びっくりだけにビックリマソ。
きっと世界のお笑い基準がもう少し優しかったら世界は笑いに覆われていた事だろう。
静寂。田舎なのに虫の音も聞こえないのは珍しい。
だが、少女は寒いだとか、つまらないだとか思って黙っている表情ではないようだ。どちらかというと「ビックリマソ……? なにそれ」と時代の流れを感じることを考えている。
と、いつの間にか少年が真顔で凄く高いアイスを買うと言ってきた。
「夏だもんねー、アイスの案いただきました! でもなんなら夏だからでこその物が良いなぁ……そうだ今度どうせ皆で夏祭り行くと思うし、その時にかき氷奢ってよ、
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7・
鹿雄
6/22 17:13
頬を人差し指でポリポリ掻いた後、何か思い付いたの一瞬、ハッと声をあげてから顔の前で両手を合わせる。
「ごめん、ごめん。驚かすつもりは更々あったんだけど、そこまで驚くとは思って無かったんだ。
だから、びっくりだけにビックリマソチョコでも奢ってあげようかな。なんてね!」
…………。
……。
何故か、鳴いていた虫の音も一斉に静まる。
この虚しい空気を裂いてくれる存在は言わずもがな、居ない訳で。
「今度、係数分ハーゲンダッチ買うよ」
結局、自分の失態を自分で誤魔化すという何とも滑稽な事態に。
ニコニコから一変して真顔となり、遠い目をした後、淡々とした口調で男気発言をしてみせた。
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6・
カイージ
6/22 16:29
>>[[22119282]]
正体が脚のある知り合いだと確認すると、先程落とした風呂桶を拾い直す。
そして、クイッとまた眼鏡を定位置に戻してから短めにため息をついた。
「桜庭くん……ビックリしたので今度私のビックリ係数分お菓子を奢ってください」
しかし、次の時にはいつものような笑顔に戻って、いつもと同じような接し方をする。
……いや、違う。ビックリしたのを根に持ったからか、偶にはこちらがからかおうと発言したため、若干いつもより笑顔が不自然である。
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5・
鹿雄
6/21 22:38
ガサガサ、ザザッ!!
大きく揺れた叢。深緑色の暗闇から現れたのは幽霊……ではなく、五体満足で身体が透けても無い小柄な人間だった。
「あっはっは。いやぁー、びっくりしたかい?」
自然の光に照らされ、徐々に正体が見えてくる。
水色のポロシャツに黄土色の半ズボン。
ツンツン跳ねた茶髪に小さな木の葉をちらほらと飾って現れたのは桜庭 友春。
その顔にはやんちゃな男の子がよく浮かべる様な悪戯な笑顔を浮かべていた。
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4・
カイージ
6/21 21:36
>>[[22117188]]
兎が微笑むように、パジャマが風に揺らされる。
もう少しここに居よう、多分そんなことを考えてそっと瞼で瞳に蓋をする……と。
「え?」
なにかの呻き声に反応してさっと、立ち上がる。反動でズレた黒縁の眼鏡を直した途端、大声が聞こえた。
少女はビクッと体を震わせ、いろんな物が入った風呂桶を落としてしまいそうになる。
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3・
鹿雄
6/21 18:41
そんな静謐の空間に吹いた風。少し火照った体温には丁度良い桃色の兎さんの頬をそっと撫でる。
穏やかな川のせせらぎと木々の葉が擦れる音。
そして、微かに聞こえる男の呻き声……。
「……ヲカシ、イト…シ…イトォ……」
やはり茂みの奥から念仏を唱えるが如く、低く唸るような声が。次第に声の大きさはヒソヒソから、もはや雄叫びに近い大声に変わった。
……相当、念の強いオバケなのかもしれない。
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「私は賛成だけど……他の人達がどうかは皆次第だね」
意気込んでいる友春を、まるで母親のような優しい笑顔で見ている少女。
嗚呼、夏が始まるんだなぁ。
なんて、少年が楽しそうに思いを馳せながら話している言葉を聞いて頭の中で想像する。
うん。面白そうだな、と。