THE SANDAI 49
三つのお題を活用し、SSを作成して下さい。 お題はそのまま使わずとも、そこから連想される描写があれば結構です。 台詞指定があります。指定の台詞を必ず一度は使用して下さい。 (7月30日 2:09 追記
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20・ おうぎ
市販のままで美味しい板チョコを、一度融かして固めただけの物は、手作りチョコと言えるのか。

「そんな事どうでもいいじゃん。早く作ってよ」と私の問いは一蹴された。

自宅の台所が出禁かつ調理器具さえ使用禁止のため、私は彼の家に招かれた。
そこでも台所には入れずリビングだったが、電気ケトルやボウル、型、チョコと揃えられている。

「これならお前も1人でできるだろ」

お湯を沸かす中、彼が台所に下がり、私は1人で湯煎を始めた。
ボウルの中でドロドロと原形を失っていく様をただ眺める。

「何してんだ?」
「湯煎」
「いやいや、湯煎ってのはお湯を直接ぶっかける事じゃないから」

またやらかしたらしい。

19・ 透晶
「後悔してる?」

そう僕が尋ねると、彼女は首を横に振って、「全然」と答えた。やせ我慢とか負け惜しみとかはいまのところうまくかくされていて、彼女の表情に翳りはみえない。

僕の背中はもう汗でぐしょぐしょで、制服のシャツがピタリと貼りついているし、顔は鏡で見なくてもわかるくらいにテカテカだ。

それなのに彼女は僕と全く同じ状況にいるのにも関わらず、涼しげな様子でいる。長く細い髪は時折撫でるように吹く僅かな風にもそよぎ、甘い香りを僕に届ける。

うだるような暑さの中、足を熱湯とも言える湯に浸けてどれくらいの時間がたったのだろう。近くの柱にとまった蝉の声が僕と彼女の沈黙を掻き消し時の流れをうやむやに
18・ 透晶
昔はたくさんの人が浸かりに来たけれど、今はめっきり少なくなり、この真夏の時期の利用者はゼロと言っていい。

そんな場所で僕は彼女と隣り合っている。

彼女が僕に手を差し出した。

子供の頃、数えるのもバカらしくなるほど繋いでいた手のひらは、今も変わらず白くて小さいけれど、やはりあの時とは違う異性を感じずにはいられない。

僕は確実にあの頃とは違う気持ちで彼女の手を握りたいと思っている。

「まだ食うの?」

わざとらしく顔をしかめて言ってから、傍らに置いていたビニール袋に手をつっこんだ。手探りでは見つからず 、中を覗いてみると目的の飴玉は残り四粒だった。淡い水色と霞んだピンク。それぞれに白く角
17・ 透晶
緊張感の欠片もないぼんやりした言い方で彼女はそうぼやくと、飴玉の包装を破った。ざらめがこぼれ紺色のスカートの上に落ちる。そのまま僕の視線は彼女の柔らかそうな太ももにスライドして、筋肉の少なそうなふくらはぎに到達した。湯に浸かってる部分が赤くなっているのを見てため息をつきたくなった。

「怒んねぇの?」

何でもないようなふりを続ける彼女が、その小さな体にたくさんの想いをぎゅうぎゅう詰めにしているのを知っている僕は、ちょいと突っついてその詰まり具合を確認する。

素人にはなかなか難しい技術だ。彼女のパンパンに膨らんだいくつもの想いは、下手をすると思いきり弾けて怪我をする。

幼稚園で懸命に描いた
16・ 透晶
中学の時は、風の強い日の渡り廊下で思いがけず披露することになったスカートの中身が、男子中学生がガックリ肩を落とすような代物だったとき。

他にも色々とあるけど、そういうときはいつだって彼女は僕を連れてここへ来る。僕の役割は彼女の隣に座って、彼女のお気に入りの甘い物を持って、彼女の様子を伺いながら、核心にちょっかいを出すことだ。

 揺れる水面を眺めながら、どんな答えが返ってくるかを待ち続ける。カラリと音がなった後に彼女のため息が聞こえた。のぼせてきたのか顔を上げた拍子にふらりと頭が揺れる。僅かに膨らんだ彼女の頬が目に入った。

 「怒ってる。自分に」

予想していた返答の一つを聞き、ほっとする
15・ 透晶
「まあ、いい勉強になったんじゃねえの?」

そう言いながら、僕は残った飴玉を無造作に取りあげ、小さな包みを手のひらで数回握りしめた。粗目はわずかに剥がれ、包装の中でさらさらと音をたてる。視線を感じ取ってそちらを向けば、彼女はぷいと顔を背け、「なんかムカつく」と呟いた。

 長時間茹でられた頭は限界間近だったけど、彼女の言葉に同意する気持ちは健在で、今まで秘めてた淡い想いが湯気とともに立ち上る。

 「ムカつくよな」

 思いのほか強く響いた僕の声に、彼女はきょとんとした。きっと想像もつかないだろう。僕の胸の中にある凝りにも似た丸い気持ちが、今日の事でいびつに膨れ上がって弾けそうなことを。


14・ 透晶
「私に怒ってるの?」

不安げにたずねる彼女に、粗目が取れてつるつるの飴玉を放り投げた。淡い水色の飴は彼女の手をすり抜けて白いシャツの胸元にぶつかって、そのままひざの上に転がった。さらりと四角い砂糖が揺れる音がする。

「もう、しゃべんな」

潮時だと思った。だるさをおぼえる足をゆっくりと湯から引き上げて、そのまま彼女に背を向けた。

「私、うざい?」

「そうじゃなくて」

「じゃあ、めんどくさい?」

「ちがうってば、俺がいいたいのは」

「おしつけがましくて、八方美人で、大人しそうな顔してじつはビッチ?」

「やめろって!」

彼女の言葉は紛れもなく、今日まで恋人だった男が、その友人たち
13・ 透晶
「さすがに傷つく。本当のことかもしれないから。でも、私ビッチじゃない」

「知ってるよ」

人一倍気を使うから、あれこれ話題をふってとにかくしゃべり倒すところとか。世話好きだから、頼まれもしないのに先に回って何かやらかしたりするところとか。

嫌われたくなくて、本当は迷ってたけど、なんでもないような顔してあいつを受け入れようとしたこととか。

全部知ってる。

「でも、一番傷ついたのは…」

彼女の言葉がとぎれて、僕はそろりと彼女のほうを見た。湯から足を持ち上げ、ひざを抱えた格好で、さっき僕が投げたあめをじっと見つめている。白い脚に薄いピンクのくつしたをはいているみたいだ。僕はじっと彼女の太も
12・ 透晶
憤りにふるえる僕の腕は彼女の小さな腕にとらえられ、この足湯に着くまで離されることはなかった。彼女の心を傷つけた言葉は、もしかしたら、これから僕が彼女に言おうとしている言葉とおなじかもしれない。でも、僕はもうそんなことは考えられないくらいのぼせている。耳の奥で脈うつ自分の鼓動が蝉の声をかき消して、のども胸も息苦しい。吐き出してしまえばいい。

鼻をすする音がして、次の言葉を言おうと彼女が息を軽く吸い込んだのがわかった。

楽になりたかった。だから僕は彼女の言葉を聞く前に口を開いた。

「どうでもいいんだよ。おまえがどんなでも、おまえはおまえで、俺はそれを知ってる。俺がそれでいいって思ってるんだか
11・ 透晶

僕から離れようとしているのに、彼女は僕に手を伸ばしている。目を見開いたまま何かをさけんだ。声は聞こえない。口元を見て何を言っているのか考えた。

「は、な、ぢ、で、て……」

ああ、鼻血ね。僕はそう理解しながら彼女が倒れていくのを見ていた。ゆっくりゆくり倒れていく。そして僕は足湯の中に落ちた。息が苦しい。いや、むしろ息の根を止めてくれ。

僕の守ってきた、まあるい凝りにも似た風船は彼女の一突きで脆くも弾けた。もとに戻ることはない。でも、その衝撃で彼女の心を傷つけたあいつの言葉を吹き飛ばすことはできた、と思ってもいいんじゃないかと思う。

願わくば幼馴染の奇行が彼女の心を少しでも癒すことを。僕
9・ おうぎ
>>[[22427754]]
「靄だ!逃げろ!!」

突如響いた声に、私は沈むように浸かっていた湯から飛び出る。
声は男性浴場からだ。哲平が危ない。
側の腰掛けに手をかけ、男女を分ける仕切りにぶち当て壊せば、向こう側に哲平の姿が見えた。

「哲平!」
「雪花?!おまっ……」

哲平はぎょっとした表情になったが、私は彼の胸に飛び込むようにして刀に変化する。
後はいつも通り、靄を斬って消失させたが。

「部屋に戻るまでそのままでいろ」

哲平の怒った声音。
仕切りを壊したせいだろうか。
部屋に着いて女人に戻れば、哲平が怒鳴った。

「お前には恥じらいがないのか!」
「……あっ……で、で
8・ おうぎ
>>[[22427746]]
「どうでもいいだろ、そんな事は」

私の悩みは相方の侍・哲平に一蹴された。
彼は茶菓子を頬張りながら言葉を続ける。

「考え過ぎなんだよ。他の刀は他の刀だし、人類つってもお前と長く付き合ってるのは俺だけだろ」
「では、私は哲平に対してどう振る舞ったら良い?」
「それは……知るかよ」

雑な返事の後、哲平は饅頭を頬張り笑みを漏らして私の口にも突っ込む。

「……美味しい」
「な。これ作ってる奴を守れた。それだけで良いんだよ。この宿、露天もあるそうだし、行こうぜ」

この話は強制終了。
哲平は楽観すぎるけど、そこに惹かれる自分がいる。
だからこそ仕事上の相
7・ おうぎ
黒い靄が人を覆い、人を消滅させる。
そんな時代。
靄に立ち向かうはお侍。
身長程もある白い刀を器用に扱い、靄に対して一振り、二振り、三振り。四振り、五振り、六振り。
刀は靄を斬り断ち、霧散させる。
靄が消え、侍が刀に羽織りを被せれば、刀は人の姿へと戻る。
それが日常風景。

そしてこの町でも、侍が刀で靄を断つ。
靄が消えて私が刀から女人に戻る頃には、人々は歓声を上げて群がり、町長らしき人物が恭しく言う。

「お侍様、お刀様、ありがとうございます。今晩はこの町一番のお宿で御くつろぎください」
「ありがとうございます」

笑顔で応えはしたが、宿に通されて当然の如く一部屋しか用意がない事に私は毎度戸
6・ 時給500円
>>[[22405235]]

「僕のことはどうでもいいです!それより……」


「君は文化祭をする上で何が大事?」


言葉を被せられ、少し不満に思いながらもしっかりと返す辺りが世渡りが下手と言われる理由なのだろう。


「……行程が円滑に進むことです」


「ノン、違うね」


そう言って彼女は振り返り、僕の鼻に人差し指置いた。


常にココアを飲んでいるせいで、砂糖の甘い匂いが籠る中、目と鼻の先に居る彼女からふわりと別の甘い香りがした。


「楽しむこと……それが一番大事なの。そのために話合いが遅れてるなら、私は納得するまで話すべきだと思うわ」


「……円滑に進まないと、
5・ 時給500円

「どうでもいい」


彼女は不貞腐れた様に呟いた。


学校の生徒会室、そしてその長たる彼女は椅子に座りながら湯気が立つココアを一口飲んだ。


熱かったのか、少し涙目になり舌を出した彼女に萌えながらも、俺は辛抱強く話を続ける。


「どうでもよくないですよ。今年の文化祭のテーマを決めないと、今後のスケジュールに問題が出ます」


「……君は真面目だねぇ。世渡りが下手そうだ」


彼女はマグカップを置くと、席を立って窓に近づいた。


夕陽に照らされた彼女の横顔は、幻想的なまでに美しい。




4・ クラブハウス
>>[[22396717]]

「へっ!?」

 その返答に虚を衝かれた私は素っ頓狂な声を上げた。


「わ、わ、分かったんですか!?」

「現場の近くの自動販売機、そこに応えはあるだろうよ」

「ありがとうございます!」

 そう言うと私は彼に背を向けて、現場へと走りだそうとした。


「君!」

 彼に呼び掛けられて、振り返る。


「急いで転ぶなよ」

 そう言って彼は、また一つ、コーヒーに角砂糖を入れた。
3・ クラブハウス
 彼はまだ湯気立ち上るコーヒーに、角砂糖を一つ落とした。
 そして、緩慢な動きでマドラーを持って、ゆっくりとかき回す。

 その動きは余りにも遅々としていて、私は腹を立てた。


「興味ないんですか!? 私の持ってきた事件の話」

 私の問いを無視し、彼はこれまたゆるゆるとコーヒーに口をつけ、そしてカップをデスクに置く。
 ハンカチで口元を丁寧に拭い、それからやっと口を開いた。


「どうでもいい。その事件に対する興味はもう無いね。今は君たち警察の無能さの方に興味が沸いてるよ」

「被害者が可哀想だとは思わないんですか!」

 私は口をとがらせてそう言う。まあ、こんな言葉をこの自称名探偵に言っ
2・ Key
お題
『湯』『問』『糖』

台詞指定
「どうでもいい」

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