THE SANDAI 50
三つのお題を活用し、SSを作成して下さい。 お題はそのまま使わずとも、そこから連想される描写があれば結構です。 お題 『7日』『鈴』『炎』
4PV6コメ

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6・ おうぎ
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少女の頬は紅潮し、今までにないほど顔が歪む。
肯定でしかない表情に男はクスクス笑う。

「だが、よく考えてごらん?数字は無限なのだよ?僕か君が死ぬまでに大量の月日が流れている」

「わかるかい?」と男は少女の頬に手を伸ばす。

「つまり『7』はね、永遠かもしれない僕らの別れを区切ってくれているのだよ。約束されない時間に恋い焦がれて燃え尽きてしまわぬようにね」

男は更に少女に寄って視線を合わせる。

「君は『7』が嫌いかい?」
「……好き、です」

少女の言葉の直後、時刻を告げるベルが鳴る。
男はパッと離れてにっこり笑った。

「さて、君との講義はこ
5・ おうぎ
男は訊いた。

「『7』という数字について、君はどう思う?」

少女は答えた。

「ただの素数です」

本が漫然と並ぶ個室。
椅子に腰掛けた少女は、机の向こう側でゆったり歩く男を目で追う。
男はふと立ち止まると不敵な笑みを浮かべた。

「それだけ?」

挑発的な言い方に、少女は少し顔を歪めて口を開く。

「旧約聖書より7日で世界が完全に作られたことから『7』は『世界』や『完全』を意味する神の数字。またピタゴ……何故笑うのですか?」
「君は頭が良いと思ってさ」
「馬鹿にしているのですか?」

少女の発言中にクスクスと笑い始めた男は、質問に答えず再び歩き出す。

「七不思議、七つ道具、ラッキーセブ
4・ 編妻 飛鳥
>>[[22695659]]

いや、正確には雲を眺めながらする妄想が、だが。

ーー白い綿雲の上を、自由に滑空し、美しい景色と一体になるーー

そんな自分を思うと、子供のころに抱いたわくわくとした感覚が蘇り、自然と頬が緩む。

雲海を蹴って、五輪金メダルも夢でないような宙返りを決めたところで、電子音が私を現実へ引き戻した。
断続的なそれは、一件の電話を告げるものだった。

燃えるような夕焼けが終わるまで続いたやりとりは、私に春を告げた。
3・ 編妻 飛鳥
りぃん、りぃん……。

風鈴の涼しげな音が、黄昏の空に響く。
夏の風物詩の一つであるそれの奏者は、去り際に夏の終わりを囁いていった。

数年前に上京し、ようやく慣れた海沿いのじっとりとした風。カーテンレールに置いていかれた硝子の海月は、次の奏者を待っているのか、ぴんと伸ばした触腕をゆらゆらと小さく揺らす。

壁の時計ーー木製で、振り子に合わせてフクロウの目が左右に動く、ちょっとしゃれたもの。一目惚れだったーーは、短針を左下に向けている。

先週からちびちび読んでいる本に栞を挟んで、ベランダに出る。さっき慌てて洗った洗濯物をくぐって手すりに寄りかかる。なんだか、不意に飲みに出ようかとも思ったが、
2・ アゲインスト
 
 幼い頃、夜鳴き虫達の声を聴きながら空に輝く冷たい月をよく見上げていた。

 同じ仲間は熱く燃える太陽を好んだが、不思議と自分は空を暗く照らし姿を変える月が好きだった。

 大人になって、草露のような命が尽きる事よりも、あの月を見上げる事が出来なくなる事の方がただただ怖い。


 だから、願う。


 叶うならば、死ぬ前に一度でいい。

 太陽のように大きく、大きな月の夜を飛びたいと。


 そんな小さな願いが叶うならば、この小さな命も惜しくはない。


 鈴なりの夜鳴きを聴きながら、大人へと成る私は羽根を伸ばす。小さな願いを叶えるために。


 あの月はどこだ。


 小さな星しか見えな

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